2019年09月19日 (更新:2020年08月27日)
BMWのFF車(前輪駆動)のラインナップを紹介!
BMWといえば後輪駆動というイメージが強いですが、現在のBMWはFF車(前輪駆動車)もそのカーラインナップに用意しています。そこで今回は、FF車とはどのようなものかということを説明しつつ、BMWのFF車ラインナップを紹介します。
FF車の基本情報
ここでは、FF車に関する基本情報を紹介します。
フロントドライブ・フロントエンジン
FF車とはフロントドライブ・フロントエンジン(Front Drive Front engine)の車、つまり前輪が駆動輪となっていてエンジンが前方に設置されている車のことです。FF車という呼び方よりも、前輪駆動車という名称でも知られています。前輪が駆動する車のエンジン配置箇所は前方が基本で、ミッドシップやリアエンジンの車種はほとんどありません。強いて言うのであれば、ホンダが過去に生産していたFFミッドシップエンジンというものがあります、しかしこれはMR2やNSXのような運転席・助手席後方にエンジンを配置しているようなミッドシップではありません。
FF車のメリット
FF車のメリット(特長)にはいくつかあります。
まず1つ目のメリットは車内を広くとることができる点です。エンジン及びトランスミッションがフロント部分に収まるような構造となっているので、後輪駆動車のようにボディ下部の後方に掛けてプロペラシャフトなどを装着する必要がなくなります。これによって車内の乗員スペースは後輪駆動車などと比べると広くなるのです。
2つ目は前輪が駆動することによる走行時の安定性の高さです。後輪駆動車と比較して考えるとわかりやすくなっています。FF車のように前2本のタイヤが駆動して走行すれば、前方が率先して動くような形になるので、後輪駆動車のように後ろから車全体を動かすよりも車の動きは安定するのです。サーキット走行などをするとこれは明確で、コーナーリング中にリアタイヤが流れても、FF車であれば一瞬カウンターを当てると同時にアクセルを踏んでいれば車の体勢をすぐ元に戻すことができます。
3つ目は全体的にかかるコストが少ない点です。後輪駆動車や全輪駆動車と比較して、FF車の車両価格は非常に安くなっています。前輪のみを駆動させていることで駆動部品に掛けるコストが少ないということが安さの一因です。そして、部品が少ないことで車両重量が低く、重量税が安くなります。車両価格に加えて維持費も安いというのは、FF車の魅力の1つとも言えるでしょう。
FF車のデメリット
以上のようなメリットがある一方で、次のようなデメリット(欠点)もあります。
まず、前輪駆動というレイアウト上、排気量の大きいエンジンを搭載することはできません。大排気量スポーツカーやスーパーカーでは排気量の大きいエンジンを搭載していますが、これらはエンジンの排気量を大きくすると同時に駆動輪を後輪駆動や全輪駆動としていて、これによって加速時のトラクションが路面に伝わりやすくなっています。これと比較すると、FF車では加速時に路面にトラクションを伝えるのがサスペンションが伸びるフロントにあるわけですから、構造的にトラクションを路面に伝えにくいとも言えます。
次に、駆動輪と操舵輪が同じという点です。FR車と比較するとわかりやすく、FR車では前輪が操舵輪のみの役割を果たして後輪が駆動輪としての役目を果たします。そのため、FR車と比較するとFF車のほうがステアリングが重いと感じたり小回りが利きにくい、サーキットなどではアンダーステアが出やすいなどというような操作性の低さが目立つこともあるのです。とはいえ、最近の車はほとんどFF車ですから、このような違いはFR車に乗ったことのある人でないとなかなか気が付きにくいとも言えます。
現行のFF車ラインナップ
ここからは、BMW車の現行のカーラインナップの中でFF車の車種をピックアップして紹介します。
BMW 2 シリーズ
BMW2シリーズとして展開されている車種でFF車となっているのはアクティブツアラーとグランツアラーの2台です。
アクティブツアラー
「都会を遊び尽くせ」というキャッチコピーの元で販売されているのがアクティブツアラーです。アクティブツアラー、BMWといったらセダンというイメージのある方にとってはBMWのイメージが少し変わる形をしています。BMWの代名詞でもあるキドニー・グリルを大型にしたものと幅広くなっているエア・インテークを用いてアクティブツアラーのアクティブさを表現したというのがこの車種のデザイン的ポイントの1つとなっています。
グレードは10種類用意されていて、その中でベースグレードにあたるのが218i アクティブツアラーです。車両本体価格は3,770,000円となっています。車両価格300万円代のBMWです。エンジンスペックは最高出力103kW(140PS)/4,600rpmに最大トルク220Nm/4,600rpmの1.5L直列3気筒DOHCガソリンエンジンで、扱いやすい設定となっています。
なお、同じアクティブツアラーでもMスポーツモデルやxドライブ仕様などだと価格も上がって全輪駆動となっていますので、全てのグレードが前輪駆動というわけではないということを覚えておいてください。
グラン ツアラー
「都会を、愛そう」というキャッチコピーとなっているのがグランツアラーです。アクティブツアラーと同様、さらっと乗ってさらっと市街に出かけたくなるようなカジュアルなデザインが印象的な車となっています。このような要素と最近の自動車はFF車が大多数を占めるようになったということを合わせて考えると、BMWのFF車の展開というものが何を目指しているのかを少し想像することができるでしょう。
グレードは10種類展開されています。ベースグレードに当たるのが218i グランツアラーモデルで、価格は4,130,000円です。1.5Lの直列3気筒DOHCガソリンを搭載し、最高出力103kW(140PS)/4,600rpmと最大トルク220Nm(22.4kgf)/1,480-4,200rpmの性能を発揮します。
上記はガソリンモデルですが、ディーゼルエンジン搭載モデルや、全輪駆動モデルも展開されているのはアクティブツアラー同様です。
Xシリーズ
X1
SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル、付き詰めるところはSUV)であるXシリーズの中で前輪駆動モデルの1つであるのがX1です。市街地はもちろんのこと、オフロードでもその性能如何なく発揮することができるのが魅力の1つとして売り出されています。
グレードは11種類用意されており、その中でもベースグレードモデルに当たるのがX1 sDrive18iです。価格は4,230,000円となっています(それでも先ほど紹介したツアラー系よりは高い)。
X1 sDrive18iのエンジンスペックは1.5Lの直列3気筒DOHCガソリンエンジンで、最高出力103kW(140PS)/4,600rpmと最大トルク220Nm(22.4kgf)/1,480-4,200rpmの性能です。よくよく見てみると先ほど紹介したツアラー系と同じ、むしろ搭載されているエンジン(B38A15A)が同じです。
X1の他のグレードにはディーゼルエンジン仕様や全輪駆動仕様モデルが、上記のグレードと同じく用意されています。
X2
2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤーエモーショナル部門賞/RJCカーオブザイヤー・インポート/日本自動車殿堂インポートカーオブザイヤーというような賞を数多く受賞しているのがX2です。パッと見ただけでもその圧倒力のあるフロントバンパーやエア・インテークのデザイン(もちろんエンジンとブレーキの冷却を考えた設計)と大きな大きなキドニー・グリルに目がいきます。
グレードラインナップは5種類と、これまで紹介したものと比べると少ないです。ベースグレードのX2 sDrive18iグレード(モデル)は車両価格4,390,000円、今回紹介している中で最も高いです。搭載エンジンはすでに何度も登場しているB38A15Aエンジン、最高出力103kW(140PS)/4,600rpmと最大トルク220Nm(22.4kgf)/1,480-4,200rpmとなっています。
元々あったBMW車のイメージ
セダンやスポーツカーというイメージが元々強かったBMWですから、現行車でFF車が用意されているというのは言われてみれば興味深いです。これまでBMWが生産・発売してきたカーラインナップを見れば、そのイメージはさらに強くなると思います。ということで、少し前の世代の方々にとっては、BMWは後輪駆動というのがイメージとなっているのです。その他、縦置きの直列6気筒エンジンや前後重量配分50:50、今でもご健在のキドニー・グリルなどは、今でもBMWに生きている魅力と言えるでしょう。
とはいえ、2001年にはBMWが展開するミニの販売も始まりました。実はこの時に発売したミニがBMW史上初めてとなる前輪駆動車だったのです。かくして、21世紀のBMWはこれまでとは少し違ったテイストを持ち始めることとなるのでした。
まとめ
FF車の特長やメリット・デメリットにも触れつつ、BMWのFF車ラインナップを紹介しました。世の中にはFF車が溢れていますので、FR車を数多く取り扱っている点でBMWの魅力は十分あると言えるでしょう。
しかし、時代の流れも関係してか、他の車種と比較して比較的お手軽に購入できそうなFF車の存在は新たな客層獲得やイメージアップにつながる可能性を秘めています。筆者としては、スポーツ走行もできるFF車のような車種も販売されることに期待です。