2021年01月03日
テスラを色々な車と比較してみた!このEVセダンはどれだけ速いのか!?
加速性能においては日産GT-Rをも上回る、0-100km/hが2秒台を実現しているとも噂されるテスラのハイパフォーマンスモデル。今回はその性能を動画で確認してみます。日本車のEVは走行距離を稼ぐ方向で開発されていますが、テスラの販売するモデルはEVをパフォーマンス方向に進化させたグレードがラインナップされています。動画では同社の代表的なモデルであるモデル S、そして2019年後半の納車が予定されているモデル 3が、同じセグメントのポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツからライバル車をピックアップして加速勝負を行います。
テスラ モデルSとモデル3のスペック
Model 3 AWD Performance | Model S P100D | |
---|---|---|
最大出力 | 473 hp | 762 hp |
最大トルク | 639 N⋅m | 931 N⋅m |
車両重量 | 1,847 kg | 2,250 kg |
0-100km/h | 3.4秒 | 2.6秒 |
※HPとPSには厳密には1%ほどの違いがありますが、おおむね同数と考えていただいて大丈夫です。
今回はテスラ・モデル Sと、量産が軌道に乗りつつある期待の量販車・モデル 3についてシステム出力を中心とした基本スペックを確認してみます。今回はEVに最も期待されると思われる電費ではなく、速さに注目しますので両車共に最も出力の高いトップグレードを取り上げてみました。
モデル3の性能やいかに!!!
モデル 3のトップグレードであるAWD Performanceは前後に2つのモーターを搭載しています。フロントモーターの出力はAWDと共通の197hpですが、リアモーターはAWDの252hpに対し、283hpの高出力タイプが搭載されています。
これによりシステム総出力は473hpを実現しています。Dセグメントのボディーサイズに473hp。車重は重めですが、最大出力はBMW M3を凌駕していますね。
良い意味で、あのエクステリアからは想像できない期待や、未知の物に初めて触れるような怖さを感じます。
0-100km/h加速タイムは3.4秒!これはフェラーリ458イタリアや599GTO、ランボルギーニ・ウラカンLP610-4スパイダーなどに並ぶタイムです。
言わずと知れたテスラの代名詞モデルS、その性能もやっぱり凄い!!
モデル SのトップグレードはP100Dになります。こちらも前後に2つ搭載されたモーターのうちリアモーターは高性能なタイプになっており、そのシステム出力は762hpにも達します。
0-100km/h加速タイムは驚きの2.6秒!これはマクラーレンP1や日産GT-Rニスモのタイムをも上回り、ブガッティ・シロンやケーニグセグOne:1に並ぶタイムです。ラ・フェラーリやポルシェ918スパイダーなどの限定車を除けば、両社のカタログモデルのタイムを超えているのが恐ろしいですね。それも、加速性能に特化したスーパースポーツではなく車重が2.2トンにも及ぶ大型セダンなのにこのタイムなのです!
タイトなコクピットでサポートに優れたシートに座っての全開加速なら経験済みの方も多いでしょうが、ラグジュアリーなセダンのシートに座り、エキゾーストノートも聞こえない世界での0-100km/h、2.6秒という加速性能。これはどのような世界なのか、是非一度体験してみたいですね。
テスラ モデルSとスポーツセダンの加速性能を動画で比較
スペックだけを眺めてみても、いかにもなエクステリアを纏っているわけではありません。正直、「本当かよ!?実測値は違うんじゃないの?」という気持ちにもなります。
そこで、ModelS P100DとAMG GT63S、BMW M5 コンペティション、ポルシェ・パナメーラ ターボS・ハイブリッド とで加速勝負を行った動画にて検証してみましょう。参考までに、ライバルカーの基本スペックは下記のとおりです。
ライバル車たちのスペックは?
メルセデスAMG GT63S(4 door) | BMW M5 コンペティション | ポルシェ・パナメーラ ターボS・ハイブリッド | |
---|---|---|---|
最大出力 | 630 hp | 617 hp | 671 hp |
最大トルク | 900 N⋅m | 750 N⋅m | 850 N⋅m |
車両重量 | 2,045 kg | 1,855 kg | 2,310 kg |
これらのモデルはもはや"スーパー"スポーツセダン。ライバルカーとしては申し分のない選択でしょう。馬力が劣り、車重もモデル Sよりも重いポルシェ・パナメーラ ターボS・ハイブリッド。スペックだけで判断してしまうと厳しい勝負になりそうですが、中間加速などはトルクの出方にも影響されますので必ずしもモデル Sの楽勝にはならないのでは?
ここはスペック以上の性能を発揮するポルシェに期待!スポーツカーメーカーとして面目躍如なるでしょうか!?
対して、他の2車であるメルセデスAMG GT63SとBMW M5 コンペティションには車重が軽いというアドバンテージがあります。特にメルセデスAMG GT63Sは最大トルクも肉薄しており、1割程度軽量な車重とも相まって好勝負を期待したいですね!
ガチンコ加速勝負!!
動画は今回の加速勝負への参加車両の説明とドライバーの説明から始まります。そして実際の加速勝負は3分40秒から。各車、迫力のあるサウンドをマフラーから響かせる中、一台だけ無音のテスラ・・・。
失礼ながら速そうには見えません。そして4分12秒に、加速勝負スタートです!
結果はなんと、テスラ・モデル Sのぶっちぎり。特にスタートダッシュが凄まじいですね。ここで稼いだアドバンテージをキープしたまま、4分の1マイルのゴール地点をトップで駆け抜けました。
2位はメルセデスAMG GT63S、3位はポルシェ・パナメーラ ターボS・ハイブリッド、そして4位は大きく離されてBMW M5 コンペティションという順位でした。まぁ加速勝負ですので至極当然かもしれませんが、最大トルクの順位でゴールしたという結果になりました。
ただし、BMW M5 コンペティションについてはローンチコントロールの解除が完全には出来ていなかったようですので、それさえ上手く対応できていたらここまでの差はつかなかったでしょう。
テスラ モデル 3も速いのか!? BMW M3と比べてみた
テスラ・モデルSが強烈に速いとはいっても、大柄な車体に多くのバッテリーと大型のモーターを積んでいるから出せる性能じゃないの!?とお感じの方も多いハズ。そこで今度は、ついにデリバリーが開始された普及モデルであるモデル3の加速性能を検証してみます。
ライバル車の性能は?
ライバルとして選ばれたのはBMW M3、スポーツセダンのベンチマークとされるBMW 3シリーズをベースにBMW M社による大幅なカスタマイズを受けて誕生した、メーカー純正チューンドともいえるマシンです。
エンジンはN55をベースに開発されたS55 B30に換装され、その出力は431hpに達します。最大出力ではモデル3に劣りますが、車重は1,640kgと200kgも軽量であり、車重を活かした良い勝負になるのではないかと予想できます!
やっぱり速かった!!テスラ モデル3
今回の加速勝負は1分40秒頃から始まります。M3はビートの効いたエキゾーストサウンドを響かせながら猛然と加速します!が、ここでもモデル3が速い!
2分23秒頃からの動画はモデル3に装着されたカメラからの映像です。速い!それも無音で!M3のエキゾーストサウンドしか聞こえません。中間加速とトップスピードの伸びでM3が差を詰めるか、とも期待されましたがその前に4分の1マイルのゴールを迎えています。
6分30秒過ぎにはマクラーレン720Sとも勝負しています。こちらは残念ながら負けてしまったように見えますが、それでも結構、肉薄していますよ!驚きです。
日本でのデリバリーは今年後半ともいわれており、このトップグレードであるAWDPerformanceの価格は約720万円のようです。まさにこの車こそ、性能、居住性だけではなくコストパフォーマンスの高さも兼ね備えたスーパースポーツセダンではないかと思えてきました。
テスラが速いワケ
EVといえば、まずはバッテリーとモーター駆動による環境性能の高さが想像されますが、その性能の一部をパフォーマンス方向に振ったテスラ・モデル S及びモデル 3のトップグレードの速さには目を見張るものがありました。
加速性能の秘密はモーターに!
この加速性能の高さは、モーターの出力特性によるところが大きいようです。内燃機関であるガソリンエンジンやディーゼルエンジンは、エンジンの回転数にあわせて最大トルク発生回転数までは徐々にトルクが発生&上昇します。ディーゼルエンジンではそれがより低回転域で最大トルクに達しますが、それでも一定の回転数まで待つ必要があります。
しかし、モーターは最大トルクにすぐに到達するため、それを活かした加速性能に特に優れています。
日本市場は燃費優先
ハイブリッド車ではありますが、モーターの出力特性を活かしたモデルとして先代のLEXUS GS450hがパフォーマンス方向に活用していました。しかし日本市場では燃費性能の高さの方が重要視されることから、現行型では影を潜めてしまっています。
加速レスポンスではモーターに叶わない!?
今回登場したライバル車はターボ加給による強大なトルク値を誇りましたが、そこに達するまでの時間という点でモーターの出力特性に勝てませんでした。では、より低回転域から加給効果の期待できるスーパーチャージャーと組み合わせたらどうだったのでしょうか。
これも、トルクの立ち上がりを低回転域に振ることは可能でしょうが、内燃機関の仕組みを考えれば、踏み込んですぐに最大トルクを発生するようにはなり得ません。これもやはり、モーターには叶わないような気がしますね。
テスラの価格や、日本での販売体制
テスラは、現在直販店を主体に販売されており、認定中古車なども公式サイトにて確認することが可能です。ただ、2mに迫ろうという車幅は日本で使用するにはちょっと大きすぎるとも感じられ、それほど多く普及しているようには見られません。
また、今回紹介させていただいたようなパフォーマンスを目的に購入している方も少ないようにも感じます。しかし、今後のEV推進の政策などによっては今よりも目にする機会が増えるのではないかと期待されます。圧倒的な加速性能を目にしたり、体験したりするのが楽しみです!
テスラ車の特徴
EVなので、ラジエーター用の開口部は必要なし!と訴えかけているようなフロントマスクと流麗なスタイルが特徴的ですね。歴史の短い会社ながらも、高い存在感をとオリジナルティを感じさせるデザインは創業者の個性に通じるものを感じます。
また、このタブレットをそのまま装備したようなセンターコンソールのデザインも凄い!操作性も含めて最初は「やりすぎでは?」という意見もありましたが、次期メルセデス・ベンツSクラスもスクープ記事などでは同様の大型ディスプレイをセンターコンソールに装備するという情報もあります。
そういった点でも、フォロワーを多く生み出しそうな予感を感じさせます。
そして自動運転でも先進性を発揮しています。また、機能のアップデートがソフトウェアで実現されるという点などはガラケーからスマホへの変化のようです。
内燃機関を搭載したこれまでの車の進化ではなく、完全にEVに特化してその特性をあらゆる面で最適化した存在がテスラの各モデルなのかもしれません。
まとめ
名だたるスポーツセダンを置き去りにするテスラのハイパフォーマンスモデルの加速性能を動画で確認してみました。EVは環境性能という点から電費などに注目が集まりますが、今後はパフォーマンスにも注目すべきかもしれません。
EVやPHEVの普及と共に、加速性能など車の持つ楽しみは減っていくのではないか!?とも懸念していましたがその心配も無さそうです。それどころか、ブリヂストンが研究開発中という噂のインホイールモーターなどが登場すればチューニングの新たな世界も広がりそうです。将来的には高出力のモーターに換装する、などの新たなカスタマイズも登場するかもしれませんね。