2018年12月08日 (更新:2020年07月13日)
昭和を駆け抜けたTE27・カローラレビン特集!!
1972年3月に発売されたTE27。初代カローラレビンとして登場しました。カローラレビンはその後、AE86が発売されると爆発的にヒットします。漫画やアニメの後押しもあり、現在も人気が高いAE86です。その元祖カローラレビンがTE27です。本日は、TE27の魅力をご紹介します。
TE27の歴史を紹介!
TE27はどんな仕様?
1970年に発売された初代セリカ、通称ダルマセリカが大人気の中、TE27の開発がスタートしました。ダルマセリカの魅力はなんといっても、搭載されている2T-Gエンジンにありました。ラリー好きであり、のちのトヨタ副社長となる久保地理介は「カローラに2T-Gエンジンを積みたい」という言葉から開発がスタートしました。
当時のカローラにはクーペも存在しておりましたが、よりスポーティーな外見に仕上げました。見分け方として、カローラレビンにはオーバーフェンダーが使用されています。オーバーフェンダーを装着することにより、太いタイヤを装着することが可能となるのです。TE27に装着されたタイヤは175/70/13と、当時の他の車よりも大きなタイヤを装着しています。
TE27の速さ
また、この時代はパワーを追求していた時代でもあります。カローラが86馬力であったのに対し、TE27はなんと115馬力です。約30馬力の力は発売当初、人々の心を踊らせました。その馬力をもって、最高時速は190km/hと発表。現在は0-100km/hにどれだけ時間がかかるか注目されますが、当時はゼロヨンが注目されていました。つまり、400m走るのにどれだけの時間がかかるかです。
TE27の出した数値は16.3秒でした。16秒台の車であれば速いとされていた当時、TE27はとても評価の高い車だったのです。TE27はダルマセリカを超える車であったとも言えます。同じエンジンを搭載しているので、パワフルな運転ができることには変わりません。しかし、オーバーフェンダーを使用することにより太いタイヤを履いたTE27であれば、コーナリングでの安定性は高くなります。さらに、TE27は軽量化によりダルマセリカよりも約100kgも軽かったのです。
TE27とダルマセリカが加速で争った場合、同じエンジンを搭載しているので力は変わりません。しかし、100kgの差は大きいです。荷物を背負って走るのと、何も持たないで走るのは何も持たないほうが速く走れますね。それと同じで、TE27の加速はダルマセリカをグイグイ突き放す加速だったのです。速さに対する憧れは、1970年代も現在も変わりません。トレンドがありますので、当時は直線の馬力や加速を求め、現在はトルクとコーナリングフィーリングが追加されたに過ぎません。
車でこそ現在はありませんが、二輪業界を見ると300km/hに到達できるバイクとして発売されると、それが話題になりヒットします。既存の車よりさらに性能の良いものを発売したいという思いから生まれたカローラレビン。その初代がTE27だったのです。
TE27のエンジン仕様を解説します!
2T-Gとはどんなエンジン?
TE27のエンジンは先にも触れた通り、ダルマセリカと同じ2T-Gです。2T-Gエンジンなくして、AE86に搭載されている4A-Gエンジンの誕生はありません。2T-Gエンジンのバルブを増やし、進化させた形が4A-Gエンジンなのです。
では、2T-Gエンジンがどんなものだったかを見ていきましょう。2T-Gエンジン以前のトヨタ車には、2T型エンジンが搭載されていました。この2T型エンジンはSOHCであり、当時ベーシックだった排気量が1.4Lでした。SOHCとは、カムシャフトと呼ばれるエンジン内の爆発を車全体に伝える部品が1つで構成されているエンジンです。2T-Gエンジンは、まず排気量をボアアップして1.6Lにします。さらに、DOHCを採用したのです。
DOHCとは、カムシャフトが2つ搭載されています。開発にあたり、2T型エンジンと2T-Gエンジンでは、SOHCとDOHCの差から当然エンジンの形状が異なります。エンジンの上、ヘッド部分の形状が異なるのですが、この技術をヤマハ原動機から引き継いで作成しました。
2T-Gに搭載されているキャブとは?
また、現在販売されている車と大きく異なる点は、キャブレターが搭載されています。キャブレターとは、ガソリンを霧状に噴射する部品です。キャブレターと言われても、現在は旧車や少し古いバイク、耕耘機や除雪機、発電機に搭載されているだけですので、馴染みが薄いと思われます。
現在販売されている車は、フューエルインジェクションという仕組みで電子制御によりガソリンが霧となって噴射されて点火します。しかし、キャブの場合は細いニードルという穴を通ることにより、霧状に噴射される仕組みなのです。
フューエルインジェクション搭載の車のエンジンをかけると、初めは回転数が高い状態から徐々に回転数が下がっていきます。これは、コンピューターがエンジンが温まるまで自動で燃料を濃くしてエンジンが止まらないようにしているのです。
しかし、キャブレター搭載の車はスターターと言われるツマミを引っ張ることにより、燃料を濃くしていたりと非常に機械的な部品です。しかしながら、フューエルインジェクションであれば電子制御なので故障した場合は部品のみ数十万円かかります。キャブレターであれば数万円で直ってしまうなどの利点はあります。しばらくエンジンをかけない場合はキャブレターのガソリンを抜いたり、清掃したりと手間はかかりますが愛好家には今尚人気があるシステムです。
そして、気になるパワーは115馬力、最大トルク14.5kg-mです。当時の若者が飛びつかずにはいられないエンジンだったのです。さらに進化を遂げたAE86に搭載された4A-Gエンジンも人気を集めましたが、その先駆けのエンジンがこの2T-Gエンジンだったのです。
TE27のカスタム例紹介
現在では手に入りにくくなってしまったTE27ですが、大切に乗られてるオーナーの方々も大勢いらっしゃいます。それでは、どのようなカスタムを行なっているかを見ていきましょう。
やはり一番こだわりたいのがホイールですね。こちらのTE27ハヤシレーシングホイールをチョイスしています。このホイールが履けるよう、オーバーフェンダーもさらにボリュームを増していますね。リムが深いホイールはやはり映えますね。
こちらが先ほどご紹介した2T-Gエンジンです。エンジンを下ろして整備しているようですが、プラグコードは社外品に変更されていますね。4連スロットルファンネルが美しいですね。昔あったカタカナのトヨタロゴにも、趣が感じられます。
このように、外見もバンパー周りをご覧いただけるとわかりますが、自分なりにパーツをつけることも可能です。
点火システムに手を加えるのであれば、MSDから発売されているマルチ点火システムを導入するのも良いですね。これを装着することにより、不完全燃焼を避けることができるのでパワーロスがなくなります。
ご紹介した車以外にも、純正のまま大切に乗られているオーナーの方々がたくさんいらっしゃいます。今回ご紹介した写真を見ても、とても昔の車だと思えないくらい綺麗に維持していらっしゃいます。外見はもちろんですが、エンジンなどの内面まで綺麗にしていらっしゃるところが素晴らしいですね。TE27に注ぐ愛情が感じられます。
まとめ
ダルマセリカから受け継いだ2T-Gエンジンで、伝説と言えるような名車になったTE27でした。この後のAE86にもしっかりと受け継がれ、走りを牽引してきた車種であると言えるでしょう。現在トヨタから発売されている86からは、レビンの名前は消えてしまいました。しかし、86という名前はAE86レビンがなければ発売されていません。その初代レビンがTE27なのです。当時も現在も、魅力がたっぷりなTE27です。中古で手に入れようと思うと、非常に高額であるかASKとなっています。現在は貴重な車ですが、いつかどこかでお目にかかれると良いですね!