2018年12月19日 (更新:2020年08月07日)
今後のマフラー規制はどうなる?マフラーの規制を詳しく紹介!
マフラー音量の規制がどんどん締め上げられ、今後は音量の大きな社外マフラーへの交換が難しくなってくると思われます。現在のマフラーの規制基準と音量の計測方法を説明するとともに、今後のマフラー規制について解説します。
今現在の規制基準を紹介
マフラーの音量は、デシベル(dB)という音の強さをあらわす単位を基準として規制されています。現在のマフラー規制音量は、平成9年までに製造された車両であれば103dB。平成10年以降に製造された車は96dB(後部にエンジンがある車は100dB)という絶対値が規定されます。この数値は、純正マフラーでも社外マフラーでも同じです。
マフラー音量の計測方法
排気音の測定には「近接排気騒音値」「加速走行騒音」「定常走行騒音」の3種類の測定方法が用いられますが、車検時や、取り締りで適用される音量計測には「近接排気騒音値」のみが用いられます。
近接排気騒音の計測方法
「近接排気騒音値」の計測は、車の暖機が完了した状態で計測します。ニュートラルギアのに入れた状態で、最高出力発生回転数の75%(6000rpmの場合は4500rpm±3%)を5秒以上維持した状態からアクセルを抜いてアイドリングが安定するまでの最大音量が適用。
2回測定し、2dB以上の差がある場合は無効となりますが、規制音量を超えている場合は有効となります。音圧は、周囲の環境や距離でおおきく誤差がでますので、計測マイクの位置も重要です。測定位置は、マフラーから45°後方の50cmの位置。高さはマフラー出口と同じ高さです。
より正確に計測するには
測定環境は、音が反響しない平坦な場所。路面が乾燥しており、風速5m以下の条件。騒音計は、信頼できるメーカーのもので、年に一度の校正がされていること。1dB未満の数値は切り捨てです。
計測時はマイクに防風スクリーンを取りつけた状態で、周波数補正特性がA特性、動特性モードをFASTにして計測します。しっかりと計測環境を整えなければ正確な騒音計測はできません。
逆をいえば、しっかりとした計測環境でなければ法的拘束力はないということです。多少の誤差はありますが、簡易的にマフラーの音量を調べたい場合は、スマートフォンの騒音計アプリが手軽に利用できておすすめです。
規制されないように対策をしよう
明らかに音量が規制値をオーバーしている場合には、車検にはとおらず、取り締まりの対象となるため、対応するマフラーに交換する必要があります。わずかに音量がオーバーする場合はインナーサイレンサーなどの装着を試してみましょう。
音量が規制値内のマフラーだとしても、あまりに低音が強い場合は騒音と判断される場合があります。低い周波数の音は家屋に侵入しやすく、人間の聴覚では騒音と感じやすい傾向にあります。感覚的な騒音は高品質なマフラーに変えることで抑えられる場合があります。
今後どうなる??
2016年4月20日に、マフラー音量の平成28年度規制が施行されました。内容は純正・社外マフラーに関わらず、特定の音量以下におさめる「絶対規制値」ではなく、新車登録時に計測された「加速走行騒音」から逸脱しない「相対規制値」への変更。
さらに、加速騒音低減に効果的でないマフラーへの改造を禁止する措置です。対象車は、2016年(平成28年)10月1日以降に製造された新型車。輸入車と現在継続生産される車とは、2021年(平成33年)9月1日以降から対象となります。
現在装着されているJASMAやJQRなどの性能確認制度に適合するマフラーは、当面の間、絶対値規制を継続するとされています。ただし「当面」がいつまでなのか明確な時期は明示されていません。つまり今後の新型車は、純正マフラーの劣化を加味したプラス5dBまでの音量に制限されます。
社外マフラーへの交換自体は可能ですが、純正から大きく逸脱する音量のマフラーは禁止になるということです。
まとめ
音量規制は新車が対象なので、古い車はこれまでどおり「近接排気騒音値」が規制基準となります。しかし、今後の世の中は静かな車が増え、排気音が大きな車はより目立つようになり、いずれは自然に淘汰されていくかもしれません。
現在走っている車のほとんどが入れ替わる先の未来には、エンジンの躍動感を鼓膜をとおして訴えかけるような生のエキゾーストノートは、聞くことができなくなるおそれもあります。近年自動車メーカーは、外ではなくドライバーに対して心地よい音を積極的にきかせる仕組みが取り入れられています。
また、マフラーメーカーはテールエンドのドレスアップに力を入れており、規制による締め上げが強くなるなかでも、車の魅力を引き出す試みがみられます。マフラー音量規制で車の楽しみ方は変わっても、車の魅力を知っているメーカーとユーザーがいるかぎり、車が楽しいものであることに変わりはありません。