ポルシェ・マカンってどんな車？あのライバル車との比較もします！

「ポルシェ」といえば、長い歴史を持つ、高級スポーツカーの”しにせ”というイメージの強い方が多いのではないでしょうか。「ポルシェ 911」なんかが有名ですね。「911」という車が初めて登場したのは、なんと1963年のこと。現在に至るまで、改良を重ね、熟成されてきました。

そんなポルシェのラインナップに、5ドアコンパクトSUVとして加えられたのが、この「マカン」。それまで「カイエン」というSUVのモデルがありましたが、マカンは一回り小さなサイズになっています。

ポルシェ マカンが世界で初めてお披露目されたのが、2013年のロサンゼルスモーターショー。同日に開催されていた東京モーターショーでも同時に公開されました。同じフォルクスワーゲングループである、「アウディ」SUVモデル、「Q5」と共通のプラットフォームを採用し、開発がすすめられたポルシェ マカン。しかし、出来上がったのは別物でした・・・。詳しくは、後述いたしますね。

それではここから、ポルシェ マカンという車についての解説に入っていきます。まずは、デザインから見ていきましょう。

いかにもポルシェらしいいでたちであるマカンのデザインの最大の特徴は、何といってもフロントマスクの大きなエアインテーク。いかにもパワーがありそうな（実際にあるのですが）迫力です。

ちなみに、ボンネットフードはヘッドライト部分も巻き込んで、フェンダーの近くまであるんです。そのため、フードを開けるとぽつんとヘッドライトが残る感じになって、おもしろいです。「ポルシェ フライライン」と呼ばれるスポーティーなルーフの傾斜は、このマカンにも継承されていますね。

リアビューも、ポルシェ 911をモチーフに、非常に洗練されたデザインとなっています。

マカンが搭載するエンジンは、最もベーシックなグレードでも、最大237psを出力する2.0L 直列4気筒ターボエンジン、最強グレードのマカン ターボは400psを発揮する3.6L V6 ツインターボを搭載するという、強気のスペックです。

最高速も、229㎞/h～272km/hということになっており、さすがはポルシェ、コンパクトSUVであるとはいえ、しっかりと一級スポーツカーレベルのパフォーマンスを与えています。他にも、電子制御、エアサスのラインナップ、ボディ剛性の向上など、ポルシェオリジナルのハイテクが投入され、マカンという車が出来上がっています。それでは、マカンの奏でる迫力のエンジンサウンドで、本項を締めくくりましょう。

ここからは、マカンのグレードについてお伝えしていきましょう。現行グレードを中心に解説していきますが、今年10月のパリモーターショーで公開された、新型マカンについての情報も調べましたので、後ほどご紹介します。

• 価格 : 6,990,000円～

ベースグレードである「マカン」は、2.0L 直列4気筒ターボエンジンを搭載する、ラインナップの中では最もパワーが抑えられたモデルとなっています。とはいえ最高出力は252ps(185kW)/5000～6800rpm、最大トルクは37.7kg・m(370N・m)/1600～4500rpmと、日本車のSUVの最強グレードでも太刀打ちできないパワーを誇ります。入門グレードとはいえ、自動車評論家からの評価も高く、ポルシェの名に恥じぬモデルになっています。

• 価格：8,410,000 円～

「マカン S」は、エクステリアなどの見た目こそ「マカン」とほどんど共通ですが、中身が全然違います。3.0L V型6気筒ツインターボのエンジンは、最高出力340ps(250kW)/5500～6500rpm、最大トルク46.9kg・m(460N・m)/1450～5000rpmという、プレミアムスポーツカー並みの性能を発揮します。このグレードからは、上品なサウンド、振動感、そしてパワー感によって、「ポルシェのクルマらしい」、上質な乗り味を楽しめるでしょう。

• 価格：9,810,000 円～

「マカン GTS」は、「マカン S」の3.0L V型6気筒ツインターボエンジンをベースにチューンナップされ、最高出力を360ps(265kW)/6000rpm、最大トルクを51kg・m(500N・m)/1650～4000rpmにまで引き上げられた特製エンジンを搭載。車高が15mm落とされ、エクステリアも精悍になり、よりスポーティーさを楽しめるモデルとなっています。

• 価格：11,000,000円～

「マカン ターボ」は、マカンシリーズのフラッグシップモデル。核となるエンジンは、3.6L V型6気筒ツインターボ。最高出力400ps(294kW)/6000rpm、最大トルク56.1kg・m(550N・m)/1350～4500rpmという、文句なしのスペックです。

そんなマカン ターボには、「パフォーマンス」という名を冠した、さらなる上級パッケージが設定されています。こちらは最高出力440psにまで引き上げられ、0-100km/h加速は、驚異の4.4秒。4秒前半となってくると、BMW M4や、フェラーリ360モデナなどのハイパフォーマンスカー、スーパーカーと張り合えるレベルです。

メーカー公表の最高速度は、時速272㎞/h。公道では実力の半分も出せませんね。とっても贅沢なクルマです。

• 価格：6,990,000円～

2018年7月、上海モーターショーにて、マイナーチェンジした新型 マカンが発表されました。従来のモデルではハロゲン、HIDヘッドライトが標準装備でしたが、新型 マカンでは、新デザインのLEDヘッドライトが標準装備となっています。また、テールランプの意匠は大幅に変更され、他モデルであるポルシェ パナメーラ等と同様、横一線になったデザインとなりました。

他にも、インテリアデザイン、ホイールの変更など、細かい部分もアップグレードされています。2Lモデルに搭載されるエンジンは、最高出力245psとなった新しい2L 直列4気筒ターボで、0-100km/h加速6.7秒、最高速度225km/hという性能になりました。上位グレードについては、まだ発表されていないようです。また、発売日についても発表されていませんが、11月2日より予約受注が始まっているため、日本の公道で新型 マカンを見られる日も近いでしょう。

マカン ターボ エクスクルーシブ パフォーマンス エディションは、「ポルシェ エクスクルーシブ」の流れを汲む、ポルシェの社内ワークショップ「Porsche Exclusive Manufaktur（ポルシェ・エクスクルーシブ・マヌファクトゥア）」によって手掛けられました。

「マカン ターボ」をベースとし、大径のブレーキシステムをはじめ、電子制御式のアクティブサスペンション（PASM）等の充実装備により、よりスポーティーな走りが可能となっています。特別なエクステリア、特別なインテリアと、何から何まで「最高のマカン」となっています。10月20日に発表され、未だに価格や発売日などは不明ですが、この究極のマカンを楽しめるのは、一握りの人間だけになるでしょう。

ここまで「マカン」のグレード別の特徴をご紹介してきましたが、全てのマカンに共通しているのが、車の基礎部分「プラットフォーム」。マカンは「アウディ Q5」と共通のプラットフォームをベースにしています。ポルシェ育ちの「マカン」。アウディ育ちの「Q5」。この両車を、次項で比較していきたいと思います！

「アウディ Q5」は2008年に登場し、2017年にフルモデルチェンジを果たした2代目が現行モデルとなっています。新型マカンよりも一足先に公道デビューしていますね。車体の基礎部分は共通しているため、5人乗りのSUVという点では同じ両車（ただし、新型 Q5は、新プラットフォームを採用しています）ですが、どんな違いがあるのでしょうか。

Q5の価格は6,620,000円～。近いスペックのマカンは6,990,000円～となっています。また、ハイパワーモデルの「SQ5」は8,920,000円～。これは8,410,000 円～である「マカン S」と、9,810,000 円～である「マカン GTS」の中間くらいのスペックです。価格もだいたい中間より少し低い程度ですね。どちらかといえば「Q5」の方がお手頃ですが、それほど差はないといったところでしょう。

プラットフォーム、ターゲット層が共通しているため、シルエットはどちらもSUV然とした感じです。マカンは「ポルシェ」らしく、Q5（画像はSQ5）は「アウディ」らしく仕上がっていますね。両車の差を強いて言うならば、「マカン」は大きなエアインテークや流麗なボディラインが「スポーティー」という雰囲気を醸しています。

反対に、「Q5」はメリハリのついた直線的なデザイン、グリル部分にあしらわれた銀色のメッキなどが、「知的でラグジュアリー」な印象を与えます。デザインではそういった真逆の方向性を含んだ部分もあるので、好みが分かれるところかもしれません。

「アウディ Q5」は、最高出力252ps(185kW)/5000～6000rpm、最大トルク37.7kg・m(370N・m)/1600～4500rpmを発揮する、2.0 L直列4気筒ターボエンジンのみのラインナップ。グレードによる違いは、ホイールやサスペンションなどです。対する「マカン」の性能は、252ps(185kW)/5000～6800rpm、最大トルクは37.7kg・m(370N・m)/1600～4500rpmと、間違い探しをしなければ分からないほどの違いしかありません。エンジン型式は異なりますが、同じフォルクスワーゲングループであることから、同様のエンジンを搭載していると考えていいでしょう。

高性能版である「アウディ SQ5」のエンジンは、最高出力354ps(260kW)/5400～6400rpm、最大トルク51kg・m(500N・m)/1370～4500rpmを発揮する、3.0L V型6気筒ターボとなっています。対する、約50万円安い「マカン S」のエンジンは、最高出力340ps(250kW)/5500～6500rpm、最大トルク46.9kg・m(460N・m)/1450～5000rpmを発揮する、3.0L V型6気筒ツインターボのエンジンです。

約90万円高額な「マカン GTS」のエンジンは、最高出力を360ps(265kW)/6000rpm、最大トルクを51kg・m(500N・m)/1650～4000rpmを発揮する、3.0L V型6気筒ツインターボエンジンとなっています。「SQ5」はシングルターボ、「マカン S / GTS」はツインターボという違いこそありますが、両者の動力性能はそれほど変わりません。

ただし、Q5シリーズは「SQ5」が最高グレードであるのに対し、マカンシリーズは、「マカン ターボ」という、さらなる上位グレードが存在します。「マカン ターボ」は、最高出力400ps(294kW)/6000rpm、最大トルク56.1kg・m(550N・m)/1350～4500rpmを発揮する、3.6L V型6気筒ツインターボを搭載。「SQ5」に対し、約220万円増しという値段ですが、お金に余裕があり、絶対的なパワーを求めるユーザーは、マカンのほうを選択するでしょう。

他にも、440psの「マカン ターボ パフォーマンス」が用意されるなど、ポルシェはデイリーユースからサーキットまで、幅広いニーズにこたえています。「ポルシェ マカン」と「アウディ Q5」には、グレードごとのスペックは似たり寄ったりですが、ラインナップの幅に違いがあるということですね。

本記事では、「ポルシェ マカン」についてご紹介し、「アウディ Q5」との比較も様々な視点から行いました。Q5との比較でもわかったように、ポルシェはあくまでも「パフォーマンス」に強くこだわるブランドであり、マカンにもその哲学が色濃く反映されています。ミドルサイズSUVになっても、ポルシェはやはり、ポルシェなのです。

デザイン、パフォーマンス、そして、価格。すべてが一級品のマカンは、近年大流行を見せているSUV市場でも、埋もれていくことはないことでしょう。本記事をお読みになった方々が、少しでも「マカン」の魅力に気付いていただければ、筆者は幸いです。

本記事は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。