車のマフラーってどんな部品?どうして交換すると音が変わるの?基本から解説します | CARTUNEマガジン
車のマフラーってどんな部品?どうして交換すると音が変わるの?基本から解説します

2018年10月19日 (更新:2020年08月07日)

車のマフラーってどんな部品?どうして交換すると音が変わるの?基本から解説します

マフラーのメカニズムを解説します。マフラーを変えるとどうして音が変わるのか、なぜパワーが上がるのかなど、マフラーが果たす役割を基本から説明。そのほか、マフラーを交換する上での注意点なども取り上げていますので、マフラーを交換する際の参考にしていただければ幸いです。

マフラーとは?

NSXマフラーの画像
エンジンの排気管であるマフラー

マフラーとは、リアバンパーから覗く、排気ガスの排出口です。エンジンが発する排気ガスを後方へと導くための金属管であり、エンジン直後の「エキゾーストマニホールド」から「触媒」「フロントパイプ」「センターパイプ」「テールエンド」と呼ばれる各部を経由してガスが排出されます。

車によっては一本の管になっている場合もあり、排気管全体を「マフラー」と呼ばれることもありますが、一般的に「マフラー」とは排気出口である「テールエンド」を指します。

マフラーの意味

マフラーの名前は「音を弱める」という意味の「muffle(マッフル)」を由来とするため、排気音を低減させる消音器(サイレンサー)が搭載された部分が正式な意味でのマフラーです。

とはいえ、消音器は「センターパイプ」にも装着されることがありますが、その場合は「サブマフラー」と呼ばれます。つまり「マフラー」とは、「メインサイレンサー」が搭載される「テールエンド」が正確な「マフラー」であるといえます。

マフラーの役割

86マフラーの画像
センターパイプからテールエンド

マフラーは、エンジンから排気ガスと共に発せられる爆発音を低減する消音器であると同時に、排気音質を調整する笛でもあり、排気ガスの流速をコントロールし、エンジンの出力特性を変えるチューニングパーツでもあります。

マフラーの消音技術

一般的なエンジンが発する爆発音はエンジン型式や回転数によって変動し、およそ25Hz〜500Hzの音であるといわれており、25Hzから100Hzくらいの低音から、300Hz〜500Hzの高音ではそれぞれ効率的な消音方法が違います。

低音域を効果的に消音するには、細いパイプから太いパイプへと排気圧力を変化させる膨張管という構造が使われます。一方、高音域を消音するためには排気ガスをグラスウールなどの目の細かい繊維を通過させることで効率的に消音します。

その他にも、音をマフラー内で反射させて音を打ち消し合うなどの技術が使われ消音性能を保っています。マフラーは、これら仕組みを組み合わせることで全体的な音量を低減させ、それぞれの仕組みの割合でマフラーの音質が決定されます。

スポーツマフラーの性能

排気ガスは、消音器内の細い経路を何度も通り、細かい繊維の中をくぐるため、消音と同時に流速も低下してしまいます。そのため、消音性能を上げれば上げるほど排気効率が低下しパワーダウンするというジレンマに陥ってしまいます。

そのため、アフターマーケットのマフラーへと交換してパワーがアップしたという事例は、消音効果を犠牲にした代わりに排気効率が向上した結果ということになります。

マフラーをカスタマイズ・交換する理由とは?

フィットマフラーの画像
チタンの焼き色が付けられたマフラー

車を買ったら真っ先に交換したいパーツの上位にマフラー交換が挙げられます。そのためアフターマーケットで販売される製品には、重低音を発する大口径マフラーや、ストレート構造で排気効率を優先させたスポーツマフラー、美しいの焼き色がつけられた軽量のチタンマフラーなど多種多様のマフラーがラインナップしています。

鉄パイプから切り出したような飾り気のない純正マフラーを交換することで、「音」「性能」「見た目」の3つのパラメーターをグレードアップするためにマフラーのカスタマイズが楽しまれています。

違法マフラーのついて

好みのマフラーに交換可能ではあるものの、どんなマフラーにでも交換してよいわけではありません。マフラー音量や形状には、道路運送車両保安基準で定められたルールが存在し、法律に反するマフラーを装着した車両は車検を通過できないばかりか、取締の対象になるので注意が必要です。

とくに平成22年4月1日以降に生産された車は、近接排気騒音96dB以下、加速騒音82dB以下の性能が確認されたマフラーの装着が義務づけられます。JQRなどの性能等確認済表示されたマフラー、および国連欧州経済委員会規則適合品 (Eマーク) 、欧州連合指令適合品(e マーク)が表示されたマフラーでなければ車検は通りません。

それ以前の車両も車検を通過するにはJASMA認定であることが条件です。そのうえ、規定の排気音量を超えた車両のオーナーは厳重な罰則が課せられることになります。

最後に

86の画像
2本出マフラーを採用するトヨタ 86

マフラーに関する規制は年々厳しさを増しており、排気音量と効率がトレードオフの関係にあるマフラー開発は、難しい状況に追い込まれています。エンジン低回転域で適切な音量のマフラーは、高回転になると排気効率が追いつかずにパワーが頭打ちになってしまう場合もあります。

近年になって2本出しのマフラーを採用する車両が増えたのは、単に見た目をよくするためではなく、厳しくなる規制内で音量と性能を両立するための苦肉の策であるともいえます。

とくにアフターマーケットのスポーツマフラーは、音量を規制されては性能を発揮できないため、パイプ径やパイプ形状を見直し、排気効率を保ったまま消音する技術が日々研究されています。

現在の流行マフラー

音量規制により、近年のマフラーは見た目は派手でも静かなマフラーが主流になっています。エンジン自体も高回転型のエンジンは少なくなっているため、極端に排気効率を追求する必要がなくなったのかもしれません。

テールエンド部分には、チタンやカーボン材があしらわれ、複雑な造形のデザイン性に優れたマフラーが数多く登場しており、絶対的な性能よりもドレスアップ要素が強くなっているのが現在のマフラー事情です。カスタムしたい人が必ず通るマフラー交換の基本を解説してみました!ぜひ、参考にしてみてください!

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