2024年10月12日
車両保険はつけたほうがいいの?プロが状況別に詳しく解説します!
高いといわれる車両保険ですが、実は2人に1人が加入している保険でもあります。自分に車両保険は必要なのか、状況別にわかりやすく解説します。
自動車保険のオプションプラン、車両保険
自動車保険について調べると出てくる車両保険。車両保険とは、通常の対人対物無制限の保険のほかに、自分の車にたいして掛ける保険のことです。
簡単に言うと自分の車が損害を負ったときに使用できる保険のことで、事故はもちろん、自らの不注意でどこかにぶつけてしまったときなどに、修理代を車両保険から支払うことができます。
車両保険はみんな入ってるの?加入率は?
そんな車両保険ですが、加入者の割合は全国で50%弱となっています。半数以上のドライバーは加入していません。
しかし逆に言えば、半数の人は必要に駆られて加入しているということ。車両保険に入る理由とはどのようなものなのでしょうか?
車両保険は必要?どんな補償を受けられるの?
車両保険は必要なのか。車両保険に入る理由として、次のようなものが挙げられます。
- 自分の運転ミスをカバーしたい
- 事故が起きたとき、自分の車を直したい
- 自然災害による被害を減らしたい
自分の運転ミスをカバーしたい
車両保険では、自分で車を傷つけてしまったときの修理代を補償することができます。
新車で良い車を買ったけど、万が一ぶつけてしまったら高額な修理費を払えるかどうかわからない、という方は車両保険に加入が吉です。
事故が起きたとき、自分の車を直したい
相手がいる自動車事故が発生したとき、相手が自動車保険に加入していれば相手の過失割合分は受け取ることができます。
しかし自分の過失割合分は、車両保険に未加入の場合、全額自腹負担となります。以下で事例をみてみましょう。
【事故の過失割合と自車の修理費用】
過失割合80:20の交通事故を起こし、自分の車に100万円の修理費用が発生
【車両保険に加入している場合】
損害額100万円-相手からの支払金20万円=車両保険から80万円補償→自己負担修理費用は0円
【車両保険未加入の場合】
損害額100万円-相手からの支払金20万円=自己負担修理費用は80万円
車両保険を使用すると、等級が下がりそれに伴い保険料は上がります。しかし、上記のように事故後の高額な修理費用や買い替え費用をまかなうことができます。
自然災害による被害を減らしたい
車両保険の加入理由として近年急増しているのがこれ。毎年甚大な被害が発生しているゲリラ豪雨や雹、竜巻などから守るために車両保険に加入する人が増えています。
雹はいつ降ってくるかわからないのでガレージや雹が当たらない駐車場の契約がベストですが、なかなかそうはいかないのが現実。乗ってから毎度毛布をかけたりするのも大変です。
そのため、実際に雹の被害にあった多くのドライバーが自動車保険を見直し、車両保険に加入しています。
車両保険の保険料は?どれくらい高くなるの?
車両保険に加入すると自動車保険料の総額は上がりますが、特に加入者(被保険者)の年齢によって保険料に開きがあります。特に20歳以下の若い方が加入するとかなりの高額となります。
ただし、車両保険の保険料は車両の価格などによっても大きく変動します。
保険加入者年齢 | 増額分(月額) | 増額分(年額) |
---|---|---|
18~20歳 | ¥20,000 | ¥240,000 |
21~25歳 | ¥8,000 | ¥96,000 |
26~29歳 | ¥4,000 | ¥48,000 |
30〜39歳 | ¥3,000 | ¥36,000 |
40〜49歳 | ¥3,000 | ¥36,000 |
50〜59歳 | ¥3,000 | ¥36,000 |
60〜69歳 | ¥3,000 | ¥36,000 |
70歳〜 | ¥3,000 | ¥36,000 |
車両保険にはいくつかのプランがある
保険料が高額になりがちな車両保険ですが、補償範囲によって大きく3つのプランがあり、心配なところだけ備えられるようになっています。
自分に合ったプランを選ぶことで、保険料を抑えることが可能です。
- 一般条件
- エコノミー
- 限定A
事故・損害 | 一般 | エコノミー | 限定A |
---|---|---|---|
ガードレールや電柱に衝突 | ◯ | × | |
車庫入れで衝突 | ◯ | × | |
墜落・転覆 | ◯ | × | |
当て逃げ | ◯ | × | |
車同士の衝突 | ◯ | × | |
自転車との衝突 | ◯ | × | |
人・動物との衝突 | ◯ | × | |
電車・キックボード等との衝突 | ◯ | × | |
火災・爆発 | ◯ | ||
盗難 | ◯ | ||
いたずら・落書・ガラス割れ | ◯ | ||
飛来中・落下中の他物との衝突 | ◯ | ||
台風・竜巻・洪水・高潮 | ◯ | ||
地震・噴火・津波 | × |
一般条件
車両保険の一般条件とは、通称フルカバーと呼ばれるものです。
「慣れない道を走ることが多いし、まだ買って間もないので車にも慣れておらず、狭い道でこすってしまうかもしれない。自分でぶつけた時に直せるようにしておきたい。」
という方におすすめで、自分のミスでぶつけてしまっても補償されます。修理に高額な費用がかかるような車にお乗りの場合は一般条件を選びましょう。
エコノミー
エコノミーは、一般条件とよく比較され、車対車+Aと表記されるプランです。
「運転も上達してきたし普段から気をつけているので、単独で車をぶつけてしまうことはほぼ無い。他車との接触や当て逃げ、台風など外的要因の部分をカバーしたい。」
という方におすすめで、他車との事故が発生しても補償されるのが特徴です。車は貯金でも直せる金額だけど、事故にしっかり備えたいという方はエコノミーを選択しましょう。
限定A
限定Aは、車両危険限定補償特約という限定的なプランです。
「田舎道なので事故も少なく、車もたまにしか乗らない。盗難や自然災害など万が一のものだけカバーしておきたい。」
という方におすすめで、事故の確率は低いが、主に台風などの自然災害から車を守りたいという場合はこのプランを選択しましょう。
車両保険を使うと等級は下がるの?
車両保険を使用すると等級が1から3下がる
車両保険を使用すると、事故の内容によって等級が下がります。
1等級上がるのに1年かかるため、車両保険を使用して3等級下がった場合、元の等級に戻るまでに3年を要することになります。
事故・損害 | 下がる等級数 |
---|---|
ガードレールや電柱に衝突 | 3等級 |
車庫入れで衝突 | 3等級 |
墜落・転覆 | 3等級 |
当て逃げ | 3等級 |
車同士の衝突 | 3等級 |
自転車との衝突 | 3等級 |
人・動物との衝突 | 3等級 |
電車・キックボード等との衝突 | 3等級 |
火災・爆発 | 1等級 |
盗難 | 1等級 |
いたずら・落書・ガラス割れ | 1等級 |
飛来中・落下中の他物との衝突 | 1等級 |
台風・竜巻・洪水・高潮 | 1等級 |
等級が下がると保険料が上がってしまう
車両保険を使用して等級が下がると、それに伴い保険料が上がります。修理費用が保険料の増額分を下回る場合は、車両保険を使用せず自腹(自己資金)で修理する、といった手法を取ることも可能です。
もちろん、修理費用が保険料の増額分を上回る場合は、車両保険をしっかり使ったほうがおトク(そのための備えです)。
車両保険を使うかどうかの判断はその都度可能ですので、事故が起きたからといって即等級が下がって保険料が上がるというわけではありません。
車両保険をつけたほうがいいのはどんな人?
車両保険の加入がおすすめなのは、次のような人です。
- ローン残高がまだ残っている
- 貯蓄があまり多くない
- 時価額が高額な車に乗っている
- あまり運転に慣れていない
- 車に乗る頻度が高い
ローン残高がまだ残っている
車をローンで購入しており、まだ多額のローンの支払いが残っている場合は車両保険をおすすめします。
車両保険に加入しておけば、万が一事故を起こして車が廃車となっても補償額をローン返済に充てることができ、次の車を購入する余裕が生まれやすくなります。
貯蓄があまり多くない
万が一事故が起きたとき、別の車を購入できるほどの貯蓄がない方は車両保険の加入がおすすめです。
車両保険があれば補償額で別の車を購入できますが、未加入の場合は自己資金を崩して購入することになります。
時価額が高額な車に乗っている
時価額が高い車は、当然ですが修理費も高額になりがち。
車両保険料も高めとなりますが、加入しておくことで高額な修理費用を賄える可能性が高いといえます。
あまり運転に慣れていない
休日たまにしか運転しないという方にも車両保険をおすすめします。
運転に慣れていないドライバーはどうしても事故やぶつける可能性が高くなります。車の修理は高額になりがちなため、車両保険で事前に備えておくのが吉です。
車に乗る頻度が高い
車の運転に慣れていても、通勤で使用するなど、運転頻度が高い方は車両保険がおすすめです。
走る距離が長いぶん事故に遭う確率が高いことに加え、万が一のときに車を買い替える費用が不足する可能性も捨てきれません。
車両保険はいつまでつけるのがいいの?
車両保険にいつまで加入するかは意見が別れるところです。基本的には、乗っている車の時価額が落ちてくる時期までという考え方になり、おおよそ新車から7年までが目安といえます。
しかし、毎年のように台風や雹害が発生するような地域では、車両保険を外してしまうと被害に遭ったときのリスクが高まるため、車両保険を10年間継続するなどのケースもあります。
車両保険のメリットとデメリットまとめ
車両保険に加入するメリット
簡潔にまとめると、車両保険に加入するメリットは次のようになります。
- 条件やプランによって比較的少額で加入できる
- 自分のミスでぶつけても修理できる
- 高額な車でも修理することができる
- ローンがある車をぶつけても返済に充てられる
- 相手がいる事故で自分の過失分をまかなえる
- 自然災害や盗難に備えることができる
車両保険未加入のデメリット
車両保険に加入しないことによるデメリットは次のようになります。
- 事故時の修理や買い替えで自己資金が足らない可能性
- ローンがある車をぶつけると支出額が高額になる
未加入の場合、高額な車をぶつけたときは修理や買い替え費用は全額自己負担となり、自己資金が足りない場合は直すことができません。また、ローンがある車を壊してしまったときは、ローンの支払いと新たな車の購入で多額の費用が必要になります。
さらに、相手がいる事故での自分の過失分は全額自己負担となります。過失割合や車の損傷状態によっては、自分の車の修理が金銭的に困難になることも十分にありえるでしょう。
車両保険検討時は保険の見直しを
車両保険に加入すると保険料が高くなってしまいますが、車両保険への同時加入や他社からの乗り換えで大幅割引を効かせてくれる保険会社も存在します。
自分の条件でもっとも安い保険会社を見つけるには、自動車保険の一括見積もりが便利。一度の入力で複数の保険会社から見積もりを受け取ることができます。
実際、自動車保険料は保険会社によってかなりの金額差があります。車両保険への加入を検討するのであれば、一括見積もりで入念に比較しておきましょう。
車両保険は状況に合わせて考えたい
車両保険はある程度の費用が継続してかかるうえ、加入してもほとんど使わずに終わる可能性が高い保険です。しかし、事故や自然災害という大きなリスクをカバーできるという利点から、約半数のドライバーが加入しているというのも事実。
まずは保険料の見積もりを行って保険料を把握し、自身の経済状況などを考慮しつつ加入を検討してみましょう。