2023年07月13日
法定点検に合格!チェック項目を徹底解説します
車を所有するうえで義務付けられている法定点検。今回は法定点検でチェックされる項目をまとめました。
車検と法定点検の違い
自動車の法律で定められている検査には、車検と法定点検の2種類があります。
車検
車検は、保安基準に適合しているかどうかを確認するための点検です。走る・曲がる・止まるができるか、ライトがつくかなど、車が公道を走行できる状態かどうかを点検します。
法定点検
法定点検は、今後のトラブルを未然に防ぐための点検です。ブレーキパッドなど消耗品の摩耗状態の確認やトラブルにつながりそうな箇所を早期発見し、安心安全に乗れる車に仕上げます。
今回は、法定点検でのチェック項目を記載します。点検項目は、点検しやすいよう場所別に分かれています。例えばエンジン・ルーム点検であれば、ボンネットを開けエンジンルームが見える状態にした時に点検するものがまとめられています。これをみながら自分の車もチェックしてみましょう。
車両確認
車両確認は、車両が車検証の車と一致しているかを点検します。車検証と違うフレームナンバーの車はもちろんNGですが、改造して全幅が変わっていたりシートの数が車検証の乗員人数と異なるなどの場合は、別途構造変更などの特殊な申請が必要です。
エンジンルーム点検
パワー・ステアリング
パワーステアリングは、主にベルトの緩みや損傷、オイル量を点検します。ベルトの緩みがある場合は張りを調整、ひび割れやほつれがある場合は交換します。オイル量が不足している場合はオイル交換や補充、漏れている場合は整備が必要です。
点火装置
点火装置は、主にスパークプラグの状態を点検します。スパークプラグの減りや汚れ具合を外して点検しますが、現代の車はスパークプラグの寿命が長いため、エンジンの調子に問題がなく、プラグの対応走行距離を超えていない場合は省略されることが多くなっています。
バッテリ、電気配線
バッテリ、電気配線は、バッテリー接続部の接続状態を点検します。ターミナルを手で持って動くようであれば増し締めをし、サビなど腐食がある場合はターミナル端子の清掃やバッテリーの交換を行います。
エンジン
エンジンは、排気ガスの色やエアクリーナーの汚れ具合を点検します。アイドリング中やアクセルを踏んだ時に排気ガスが著しく汚れる場合は整備が必要です。エアクリーナーは、ゴミや汚れが蓄積していたら交換します。
CO、HC濃度
CO、HC濃度は、排気ガス中の有害物質の濃度をチェックします。濃度が高い場合はエアクリーナーやO2センサー、触媒などを交換する整備が必要です。
冷却装置
冷却装置は、冷却水を冷やすためのファンに装着されているベルトの状態を点検します。ベルトの緩みがある場合は張りを調整、ひび割れやほつれがある場合は交換します。冷却水が漏れている場合は整備が必要です。
燃料装置
燃料装置は、燃料漏れがないかを点検します。燃料漏れはめったに起こるものではありませんが、ガソリンの臭いがするかどうかでもある程度判断できます。タンクからではなく、ポンプなどから漏れることもあります。
公害発散防止装置等
公害発散防止装置は、排気ガス以外の有毒なガスがしっかりと処理されているかを点検します。ブローバイガスの配管の破れや、揮発したガソリンを処理するキャニスターなどが主な点検項目です。
室内点検
ホーン
ホーンは、クラクションが正常かを点検します。ホーンボタンやパッドを押し込んだとき、音量がしっかり出ていなかったり途切れ途切れになる場合は整備が必要です。
シートベルト
シートベルトは、シートベルトが正常かを点検します。ベルトにほつれや破れがなく、スムーズに引き出すことができ、確実にロックできるかを確認します。
発煙筒
発煙筒は、発煙筒が搭載されているかを点検します。搭載されていても、発煙筒の有効期限が切れている場合は交換します。LED式の発煙筒の場合はしっかり点灯することを確認します。
メーター・警告灯
メーター・警告灯は、メーターの表示や警告灯の点灯状態を点検します。スピードメーターが正しい速度を表示しているか、異常を示す警告灯が点灯していないかを確認し、もし異常がある場合は整備が必要です。
ハンドル
ハンドルは、ガタやスムーズかどうかを点検します。ステアリングを左右に動かしてコツコツとガタがある場合は、部品交換や増し締めなどの整備が必要です。
ブレーキ・ペダル
ブレーキ・ペダルは、効きや操作感などを点検します。しっかりと踏み込んだときに底付きすることがないか、踏み込み量に応じた制動力があるかを確認します。
パーキング・ブレーキ・レバー(ペダル)
パーキング・ブレーキ・レバー(ペダル)は、効きや操作感を点検します。適度な引きしろで作動するか、操作量に応じた制動力があるかを確認します。
クラッチ・ペダル
クラッチ・ペダルは、操作感や残りしろを点検します。ペダルが底付きする前にクラッチがしっかり切れるか、ペダルの動きがスムーズかを確認します。
足廻り点検
かじ取り車輪
かじ取り車輪は、主にアライメントを点検します。4つのタイヤがしっかりと同じ向きを向いているかを確認します。
ショック・アブソーバ
ショック・アブソーバは、サスペンションのダンパーを点検します。ダンパーからオイル漏れがある場合は交換します。
サスペンション
サスペンションは、サスペンションがしっかりと衝撃を吸収できる状態かを点検します。曲がりや歪みはもちろん、取り付け部のブッシュに大きな痛みやガタがある場合は交換します。
ブレーキ・ディスク・ドラム
ブレーキ・ディスク・ドラムは、ブレーキが正常に作動する状態かを点検します。パッドやライニング、ディスクローターなどの摩擦剤の残量が少なかったりする場合は交換します。
ブレーキのマスタ・シリンダ、ホイール・シリンダ、ディスク、キャリパ
ブレーキのマスタ・シリンダ、ホイール・シリンダ、ディスク、キャリパは、主に漏れや操作感を点検します。各部からの漏れやブレーキの片効きや引きずり、固着は整備が必要です。
ホイール
ホイールは、タイヤの状態やホイールが緩みなく取り付けられているかを点検します。タイヤの残量が少ない場合は交換となります。また、ホイールがとりつくハブにガタがある場合は整備が必要です。
下廻り点検
エンジン・オイル
エンジン・オイルは、主にエンジンオイルの漏れを点検します。エンジンオイルが漏れている場合は漏れを止めるための整備が必要です。
ステアリング・ギヤ・ボックス
ステアリング・ギヤ・ボックスは、しっかりと装着されているかを点検します。主に取り付け部の緩みを点検し、緩みがある場合は増し締め、ブッシュやブーツが痛んでいる場合は交換します。
ステアリングのロッド、アーム類
ステアリングのロッド、アーム類は、ガタや緩みがないかを点検します。タイロッドなどのボールジョイント部分のガタや、ブーツに破れがある場合は交換します。
トランスミッション、トランスファ
トランスミッション、トランスファは、オイルの量と漏れを点検します。量が不足している場合は交換または補充が必要となり、漏れている場合は整備が必要です。
プロペラシャフト・ドライブシャフト
プロペラシャフト・ドライブシャフトは、ガタや緩みがないかを点検します。ジョイント部にガタがあるときは整備が必要です。同時にブーツやブッシュに痛みや破れがないかも点検し、ある場合は交換します。
デファレンシャル
デファレンシャルは、オイルの量と漏れを点検します。量が不足している場合は交換または補充が必要となり、漏れている場合は整備が必要です。
ブレーキ・ホース、パイプ
ブレーキ・ホース、パイプは、漏れや損傷がないかを点検します。ブレーキホースが劣化し亀裂が入っていたり漏れている場合は交換します。ブレーキホースが暴れないよう正しく取り付けられていない場合も整備が必要です。
エグゾースト・パイプ、マフラ
エグゾースト・パイプ、マフラは、緩みや腐食による穴がないかを点検します。同時に、規定以上の音量になっていないかも点検します。穴があいて排気が漏れていたり、消音できていない場合は部品交換や溶接などによる修理が必要です。
外廻り点検
フレーム、ボデー
フレーム、ボデーは、外装に痛みや突起などがないかを点検します。バンパーの一部が外れて突起物のように飛び出していたり、ドアミラーの鏡部分が割れていたりする場合は整備が必要です。
ガラス
ガラスは、各ウィンドウの状態を点検します。飛び石によるヒビ割れがある場合は、ガラスの交換または補修が必要です。
その他の点検(日常点検の範囲)
ブレーキ液、バッテリー液、冷却水の量
ブレーキ液、バッテリー液、冷却水の量は、各液量が規定値にあるかを点検します。それぞれの液量を確認し、足りないものがある場合は補充します。メンテナンスフリーのバッテリーは液量点検の必要がありません。
エンジン・オイルの量
エンジン・オイルの量は、エンジンオイルの液量が規定値にあるかを点検します。エンジンを停止してから3〜5分後の液量を確認し、足りない場合は補充または交換します。
エンジンの調子
エンジンの調子は、かかり具合やスムーズさを点検します。スムーズに始動でき、アイドリングで安定しているか、加速時に力強く加速できるかなどを確認します。アイドリングが小刻みに上下したり、以前より力強くないなどの場合は整備が必要です。
ランプの点灯・汚れ・損傷
ランプの点灯・汚れ・損傷は、各ランプの状態を点検します。ランプが正常に点灯(点滅)するかはもちろん、レンズに著しい汚れがないか、割れてしまっていないかを確認します。レンズに割れがある場合は交換します。
ウォッシャ液の噴射状態・量
ウォッシャ液の量・噴射状態は、ウォッシャー液の量と噴射状態を点検します。ウォッシャー液がウィンドウへしっかりと噴射されるかどうかを確認します。噴射位置が異なる場合は噴射位置を調整、液量が足りない場合は補充します。
ワイパの拭き取り状態
ワイパーの拭き取り状態はワイパーの作動と拭き取り状態を点検します。前後のワイパーが正常に動くことだけでなく、ウィンドウに水を残すことなくしっかりと拭き取れるかを確認します。ワイパーゴムがひび割れていたり裂けている場合は交換します。
点検を機にしっかり整備したい
年に一度義務付けられている法定点検。今後起こるトラブルを未然に防ぎ、安全に走行できるようにするための大切な点検です。
自分で点検するのもいいですが、摩耗具合など微妙な状態はプロに判断してもらいたいところ。近所のお店に相談し、必ず実施するようにしましょう。