2023年04月14日 (更新:2023年04月20日)
これが7人乗りTypeRだ!K20&6MTスワップの化け物ストリーム!【第5回オレンジMT】
街乗りからサーキットまでオールマイティに...でもそうはならないでしょ!と思わず言いたくなる、K20&6MT載せ替えの”化け物”なストリームをご紹介。こだわりや苦労話をじっくり伺いました!
愛車&オーナー情報
- 車種:ホンダ ストリーム RN3
- 年式:2006年(平成18年)
- 走行距離:130,000km
- ボディカラー:YR643M プレミアムクリスタルオレンジメタリック(オールペン)
- オーナー:わらびー
- 所有年数:3年9ヶ月
どうしてこうなった?
この記事のタイトルを見て開いてくれた方の多くがきっと思っているであろう「どうしてこうなった」という疑問を、早速オーナーにぶつけてみた。
もともとホンダ好きで、かつミニバンのような大きい車と、スポーツカーも好きだったんです。そこで”人や荷物も乗れる車で走りたい”というわがままな欲を満たせないかなと。
そしてこの型のストリームも好きで。コレをどうにかうまいこと走れるようにできないかな、と考えていて。ちょうどタイミングの良い頃にシビックのエンジンとミッションを手にいれる機会があって、「載せ替えたら楽しいんじゃないか!?」と思って着手しました。
思わず「そうはならないでしょ!」とツッコミを入れたくなるが、それを実現するからこそ見える世界がきっとある。実際にオーナーも載せ替えてMT化が終わったとき「あー、自分の車になったな」という達成感に満ち溢れたそうだ。
実はオーナーのわらびーさんは以前、EP3のシビックに乗られていた。だから走るなら”VTEC"という条件は譲れなかった。もちろん当時のEP3のことも好きだったのだが、人や荷物があまり乗らないな...と思い始め、その想いを諦められずストリームに乗り換え。そして人も荷物も乗ってサーキットもガンガン楽しめるこのストリームが完成したのだ。
ボディ色と同じヘッドカバーを除き、シルバーと黒でシンプルにまとめられたエンジンルームは美しいの一言。「ワイヤータックのような派手なエンジンベイではないので...」と謙遜するものの、かえって載せ替えていることを忘れてしまうような自然なエンジンルームだ。
思う存分走るために
エンジンを載せ替えて、MT化して、さぁ走るぞ!というわけにはいかない。ストリームのボディをそのままサーキットで酷使してはボディが持たない。それはオーナーが一番よくわかっていた。
ハーネス1本も残らない”ホワイトボディ”の状態にして、剛性アップのためにフルスポット増し・各部の補強を実施しました。普通ならそのままドンガラでロールケージを付けたくなるところですが、あくまで人や荷物を乗せる「ファミリーカー」なので、内装は戻して3列目シートもしっかりあります。
と話しながらドアの淵のモールを少しズラしてスポット増しの跡を見せてくれた。そこまでするか、という気持ちも湧いてくる中で、オーナーの本気度がひしひしと伝わってくる。
車内はフロントのバケットシートこそあるものの、純正そのもの。2列目・3列目シートはもちろん、ドア内張もしっかり取り付けられていて”サーキットマシン”の面影はほとんどない。
こちらがそのスポット増し画像。オーナーがその様子を投稿してくれたので引用させていただいた。純正ではありえないものすごい量となっている。投稿には別カットも掲載されているのでぜひ合わせてご覧いただきたい。
最大の苦労
エンジン載せ替えとMT化にあたって、一番苦労した点を伺ってみた。
エンジンやミッションは物理的に乗ることには乗って、「案外楽勝じゃん!」と思っていました。
でも最大の苦労はその後で、ストリームのECUではエンジンが動かないのでEP3のECUを移植したんです。これでエンジン周りは動くようになったんですが、エンジンの後ろ側はストリームのままで。車内の配線はストリームのものをそのまま使いたかったので...
その結果、EP3のECUから来るハーネスと、車両側のストリームのハーネスの1本1本をテスターでチェックしながら接続。途方もないこの”接続作業”が最も大変だったそうだ。でもその時点で既にエンジンとミッションは載せ替え済み。やるしかなかった。
おかげで、例えば内装のストリームのエアコンパネルなどはそのままに、EP3のECUでしっかりと使用できている。まさに天晴れな作業だ。
こちらはオーナーが投稿してくれたハーネス接続作業中の画像。こちらもオーナーの投稿から引用させていただいた。まるで解体工場のような光景。とても完成させられる気がしない。
せっかくなのでそのまま内装を紹介したい。
MT化に伴い内装パネルも大工事かと思いきや、この辺りはストリームの純正ほぼそのままだそう。シフターのみEP3用を流用し、もともとあったATのパネル周りはほとんど加工せずそのまま入ったようだ。
ただしもう1つ内装での苦労があり、それは"クラッチペダル"と"サイドブレーキ"。もともと足踏み式のサイドブレーキであるストリーム。「このままではペダルが4本になっちゃう、どうしよう」と悩んだ結果、もともとあった足踏み式のサイドブレーキを取っ払い、パネルに穴を開けてクラッチマスターを装着し、ブラケットを作成してクラッチペダルを設置した。
そして肝心のサイドブレーキについては、EP3のセンターコンソールを流用し、サイドブレーキもEP用を流用装着して使えるように。もともとそこにあったかのような綺麗で見事な仕上がりとなっていた。ストリームのオーナーではない限り、何人がこの違和感を見抜けるだろうか。
メーターもEP用へと換装されているが、もともとストリームにも白背景で3眼の仕様もあるそう。タイプRの表記もなく一見するとノーマルに感じられるが、レブが8500となっている点がタイプRの証だ。
フロントシートもEP純正RECARO。後期内装の黒をベースにダッシュボードからルーフまで黒に張り替え、統一感を出している。前期のストリームだと内装色はベージュになってしまうそうで、その点もあって後期にはこだわったそうだ。
外してびっくり
この日の足元を飾っていたのは、なんとテスラ モデル3の純正ホイール。PCDは114.3で、ハブ径もなんとホンダと同じだったそうだ。
もともとこのホイールが欲しくて探していたというわけではなく、冬用に安い繋ぎくらいの気持ちで買ったところ、良い意味で「気持ち悪っ!!」と変にしっくりきてしまって、今ではすっかりお気に入りになってしまったとか。
反対側を見てみると、また異なるホイールが...。
実はコレ、さっきのホイールキャップを外しただけなんです。
一瞬理解が追いつかなかった。
そう、テスラの独特な形状の正体は実はホイールキャップで、外すとまるで”サーキット用超軽量ホイール”と言わんばかりの無骨でスポーティなホイールへと早変わりするのだ。
オーナーも購入した後にこの事実を知ったそうで、これもあってとても気に入ってしまったそう。冬タイヤがゴリゴリ減っていってしまうので早く交換しないといけないものの、お気に入りすぎていつ夏タイヤに戻すか悩んでしまっているそうだ。
ちなみに冒頭でオーナーが持っているホイールキャップはテスラホイール用の社外のエアロディスクで、もちろんこのホイールにしっかり取り付けできる。エアロディスクを利用してプチ痛車にも挑戦している。
ホイールの奥に映り込むブレーキも迫力満点。パワーは載せ替えて十分なものの、その巨体をしっかりと止めるために、フロントには6pot・350mm、リヤには4pot・320mmのブレーキシステムを導入。サーキットでも安心して踏んでいけるスペックだ。
車がつなぐ縁
外装はモデューロのエアロのみと仕様からすると控えめな印象。”開けてびっくり”となるよう、意図的にシンプルな外装としているそうだ。
車のおかげでいろんな人と関わり、交流も増えました。それだけでも作った意味がありました!
とても謙虚なコメントをくれたわらびーさん。
やはりこの車でサーキットへ行くと、「え?これで走るの?」という視線や声をかけられるそう。しかし日光サーキットなどでシビックの1秒落ちくらいで回ってくるストリームを見て、他の参加者が異変に気が付く。ピットへ戻ってきて車の仕様を見て「もうこれシビックじゃん!」までがお決まりのパターンだそうだ。話を聞いているだけで、はっきりとその光景が目に浮かんでくる。
ちなみに、ルーフも本物のカーボンに交換されている。もちろんストリーム用なんて無く、ワンオフ品だそうだ。FD2など他のタイプRに乗っている友人からも、「剛性感がタイプRと同等、もしくはそれ以上かも。サーキットも全然普通に走れる」という嬉しいコメントももらったそう。ここまでやっているストリームは世界中探してもこの1台だけだろう。
ジェイドのオレンジにオールペンして、テスラのホイールを流用している、これだけでも十分話題性がある。でもここまで仕上げたからこそ唯一無二の1台となっているし、実際に取材スタッフも”この1台は逃せない”と必死にオーナーを探した。
車が自己満足で終わらずコミュニケーションのきっかけとなり、そしてそのストーリーを楽しそうに語ってくれるオーナー。コミュニティを運営しているものとしても、とても心温まる取材のひとときを過ごさせていただいた。
そして肝心のストリームにはまだまだ語りきれない純正流用やツウにはわかるポイントがあるそう。筆者としてもこのストリームは1人でも多くの人に見てもらいたい、それほど魅力の詰まった車だ。オーナーも気さくに話してくれるので、ぜひどこかのイベントで見かけた際にはあなたの疑問もぶつけてみてほしい。
スペック表
エンジン
- EP3 K20エンジン&6MT載せ替え
ホイール
- テスラ モデル3純正流用 18x8.5J+40(F/ワイドトレッドスペーサー30mm, R/ワイドトレッドスペーサー20mm)
タイヤ
- NANKANG AW-1 225/40R18
外装
- モデューロフルエアロ
- カーボンルーフ
内装
- EP3後期 純正RECARO
- EP3後期 純正センターコンソール
- EP3後期 純正サイドブレーキ
- EP3後期 純正メーター
- 内装張り替え
オーディオ
- carrozzeria スピーカー
- メーカーオプション プレミアムサウンドシステム用ツイーター
- carrozzeria TS-WX130DA サブウーファー
足回り
- ENDLESS ZEAL EP3用(F:16kgf/mm, R:20kgf/mm)
ブレーキ
- フロント6pot 350mm
- リヤ4pot 320mm
吸排気
- ワンオフマフラー
ギャラリー
(photo:CARTUNE運営 Hiroki)
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