ネジ式車高調の知られざるメリットとは

2022年06月18日 (更新:2022年06月21日)

ネジ式車高調の知られざるメリットとは

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車高調のひとつであるネジ式。安価で使いやすいネジ式車高調だが、安かろう悪かろうではない性能をもっていることをご存じだろうか。

カスタムの必須アイテム、車高調

こうちゃんさんのシビックFD2サスペンションの画像
こうちゃんさんのシビックFD2サスペンションの画像
引用元:こうちゃんさんの投稿

もはやカスタムの基本ともいえるローダウン。低く構えたルックスやクイックな走行性能を得るのに必要なのが車高調だ。モノによっては車高だけでなく減衰力も変更することができ、あえてソフトで快適な乗り心地に仕上げることもできる。

車高調は全長式が主流

といさん@WIZさんのエリシオンプレステージRR1サスペンションの画像
全長調整式車高調
引用元:といさん@WIZさんの投稿

車高調にはCリング式とネジ式、全長式があり、順にコストと調整幅が上がっていく。Cリング式とネジ式は安価かつ手軽に車高を調整できるがプリロードも変化してしまうため、乗り心地を保持したまま車高のみを変更するには全長式が圧倒的に有利だ。車高も極限まで下げられるため、現在は車高調といえば全長式という人がほとんどではないだろうか。

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ネジ式と全長式の構造の違い

源さんさんのBRZサスペンションの画像
源さんさんのBRZサスペンションの画像
引用元:源さんさんの投稿

ネジ式(Cリング式も同様)と全長式は、サス本体と車両のナックル部分とを固定する部品に違いがある。ネジ式の固定用ブラケットは溶接などで直接シェルケースに装着されているのにたいし、全長式のブラケットは別部品となっており、ロアブラケットと呼ばれる部品にシェルケースがねじ込まれている。シェルケースを回してロアブラケットとの位置関係を変更することで、スプリングに影響を及ぼさず乗り味の変わらない車高調整が可能だ。

ネジ式ならではのメリット

ハヤブサさんのマーチK13改サスペンションの画像
ハヤブサさんのマーチK13改サスペンションの画像
引用元:ハヤブサさんの投稿

そんな全長式の影に隠れがちなネジ式車高調だが、実はネジ式ならではのメリットがいくつか存在する。(Cリング式も同じようなメリットがあるが、調整幅が狭いため割愛)

  • オイル容量が大きく劣化が少ない
  • ストロークを長く取れる
  • ゆるみなどの心配がない
  • 車種専用設計されている

オイル容量が大きく劣化が少ない

サスペンションは、基本的に封入されているオイルの量が多い方が作動が安定し耐久性が高い。オイルがたくさんあるほうが内部で発生する泡や熱に対して強く、同時に劣化も遅らせることができるからだ。そのため、できるかぎりシェルケースを大きくしオイル容量を稼ぎたい。

全長式はシェルケースをロアブラケットに出し入れして車高を調整するが、この車高調整幅の確保のためにはシェルケースを短くしオイル容積を削らなければならない。ロアブラケット内部にはシェルケースの入りぐあいによって空間が生まれてしまうため、この分のオイルを諦めることになる。

たいしてネジ式は、ロアブラケットがないためシェルケースが大きい。全長式の倍とまではいかないもののかなりのオイル量が確保できるため、劣化が少なく安定した作動を可能とする。

ストロークを長く取れる

シェルケースが大きいネジ式は、その分ストロークを長く取れるのも利点だ。全長式はシェルケースが短いためにストロークの確保に苦労するが、ネジ式はメーカーの推奨範囲内の車高であれば長いストロークを得られ、底付き感の無いしなやかな乗り味が手に入る。

ゆるみなどの心配がない

全長式のシェルケースとロアブラケットはロックシートと呼ばれるリングで共締めして固定するが、サスペンションは激しい衝撃が加わるため定期的にゆるみの確認が必要だ。たいしてネジ式にはそもそもロアブラケットが無いためゆるみの心配がなく、メンテナンスはある程度ラクになる。

車種専用設計されている

サスペンションは車種ごとにブラケットの形状が異なるため、基本的には車種専用設計だ。しかし全長式は上下のブラケットのみを変更すれば取り付けが可能となるため、コストダウンを狙ってシェルケースを共用、ブラケットのみ開発という商品も存在する。

ネジ式の場合、構造上すべて車種専用設計とせざるを得ない。シェルケースに直接ブラケットを溶接固定するため、メーカーはコストをかけ車種別にベストなケース寸法とストローク長となるよう開発しているのだ。開発時にコストがかかるというのは消費者にはあまり関係のないことかもしれないが、ネジ式は安かろう悪かろうというモノでは決してない。

ネジ式車高調の注意点

BRG&つぎはぎしてないZさんのレガシィツーリングワゴンBRGサスペンションの画像
BRG&つぎはぎしてないZさんのレガシィツーリングワゴンBRGサスペンションの画像
引用元:BRG&つぎはぎしてないZさんの投稿

ネジ式車高調の注意点は、ひとつ変更しようとするといくつかの部分まで影響してしまうということだ。

下げると柔らかくなりストロークが減る

ネジ式の構造上、車高とプリロード、ストローク長は密接に関係している。車高を下げようとすると、スプリングのプリロードが減って乗り心地が柔らかくなり、同時にストロークも短くなってしまうのだ。メーカーの推奨範囲はそれぞれがベストな状態になるよう設定してあるため、もし推奨範囲を超える車高ダウンを行う場合は全長式に交換してしまった方が良い。

上げると乗り心地が硬くなる

また、車高を推奨範囲より上げても問題が生じる。車高を上げようとするとスプリングのプリロードが増すため乗り心地が硬めになり、リバウンドストロークも減ってしまうのだ。もし推奨範囲を超える車高アップを行いたい場合は丸ごと見直す必要が生じる。

正しく使えば高いポテンシャルをもつネジ式車高調

GAKU@AICHIさんのゴルフ RAUCJXFサスペンションの画像
GAKU@AICHIさんのゴルフ RAUCJXFサスペンションの画像
引用元:GAKU@AICHIさんの投稿

ネジ式車高調は安価で使いやすいためどうしても低グレードの車高調というイメージがあるが、全長式と比較するとオイル量やストロークが確保できたりとメリットは多い。

実際、ヨーロッパでは全長式のような構造のサスペンションはTUV認証(ドイツ)を取得できない場合もあり、多くのメーカーやレーシングカーがネジ式を採用している。正しく使えば懐深い脚となるネジ式車高調、これを機にいちど見直してみてはいかがだろうか。

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