2022年07月01日 (更新:2024年03月22日)
ドアミラーの流れるウインカーは車検NG?合格方法はあるのか
光の流れが美しいシーケンシャルウインカーですが、ドアミラーをシーケンシャル化し車検不合格となっている例が増えています。実際のところ、シーケンシャルウインカーはどのような扱いなのでしょうか?
ドアミラーのシーケンシャルウインカーは非合法?
シーケンシャルウインカー(連鎖式点灯をする方向指示器)とは、LEDを使用した光が流れるウインカーのこと。ヘッドライトやテールライト上を滑るように光るウインカーは、車に流麗な雰囲気を生み出します。
しかし、近年ドアミラーに内蔵されているサイドターンシグナル(サイドウインカー)をシーケンシャルウインカーに変更したことで車検不合格となってしまうケースが続出。これはなぜなのでしょうか。
シーケンシャルウインカーは前後のみしか認められていない
シーケンシャルウインカーの装着はそもそも前後しか認められていません。平成27年2月5日の審査事務規程の第64次改正には、自動車の前部又は後部に備えるものに限ると記載されており、シーケンシャルウインカーは側面方向指示器(サイドターンシグナル、サイドウインカー)としては認められないことになっています。よって、当然、車検もNGとなります。
しかし、国内の新型車ではドアミラーにシーケンシャルウインカーと思われるものを装着している車両があります。これらはなぜ合法なのでしょうか。日産新型オーラを例に詳しく見てみましょう。
新型オーラのシーケンシャルドアミラーウインカー
新型オーラにはシーケンシャルドアミラーウインカーがオプション装備されていますが、このウインカー構造を観察するといくつかの特徴が見えてきます。新型オーラのシーケンシャルドアミラーウインカーの特に重要なポイントは以下です。
- ウインカー最外部のLEDは通常点滅するウインカーになっている
- 最外部以外はシーケンシャルウインカーになっている
- 最外部のウインカーレンズはミラーボディから横方向へ盛り上がっている
これらのポイントを整理すると、次のようなことがわかります。
最外部は側面方向指示器として機能する
新型オーラのドアミラーウインカーに内蔵されている7つのLEDのうち最も外側にある装飾部品で隔てられた1つのLEDは、シーケンシャルではなく前後の方向指示器と同期して点滅する通常のウインカーとなっています。これにより、最外部の点滅ウインカー部分は側面方向指示器(サイドターンシグナル)として機能します。
簡単にいうと、画像の最も右側、メッキパーツよりも右にある1つのLEDは、ピカピカと点滅する一般的なウインカー(側面方向指示器。サイドターンシグナル)として機能しているということです。この部分はシーケンシャルの光の流れとは関係なく、一定間隔で点滅するようになっています。
最外部以外は補助方向指示器として機能する
補助方向指示器とは、側面方向指示器が備わっているうえで、補助的に設けることができるウインカーのこと。この補助方向指示器には見通し要件がなく、車両の両側面に1個ずつ備えることができます。新型オーラの場合、側面方向指示器は最外部に備わっているので、シーケンシャルウインカーとなっている6つのLEDは補助方向指示器として扱われます。点滅開始や消灯も他の方向指示器と同期しており問題がありません。
わかりやすくいうと、メッキパーツで隔てられている一番右側のLEDが側面方向指示器(サイドターンシグナル)として機能しているため、シーケンシャル部分はおまけのウインカー(補助方向指示器)扱いになっているということです。おまけのウインカーには左右にひとつずつ付けること、点灯開始や消灯のタイミングは他のウインカーと合わせることというきまりがあり、シーケンシャル部分はこれらを満たしているので問題がありません。
レンズ配置で後方からの見通し基準をクリアしている
ウインカーレンズの最外後方部は鏡面部分よりも外側へ盛り上がっており、ウインカーレンズが後方からも確認できるようになっています。これにより、後方からも見通せなければならないという側面方向指示器の要件を満たしています。
わかりやすくいうと、車の横に装着が義務付けられている側面方向指示器(サイドターンシグナル)には車両の斜め後ろからも見えなければいけないというきまりがあります。メッキパーツで隔てられている一番端のLEDのレンズは横方向へ盛り上がった形になっていて、このレンズによって後ろからも光が見えるようになっています。これにより、一番端のウインカーは側面方向指示器として認められているということです。
ドアミラーのシーケンシャルウインカーを合法化するには
いちど、ここまでの内容を整理しましょう。シーケンシャルウインカーを合法化するには次のような点がカギとなります。
- シーケンシャルウインカーは側面方向指示器としては使用できない
- 側面方向指示器には後方からの見通し要件がある
- シーケンシャルウインカーは補助方向指示器には使用可能
- 補助方向指示器は側面方向指示器が備わっていれば装着可能
- すべての方向指示器の点滅は同期していなければならない
新型オーラのシーケンシャルドアミラーウインカーはこの構造をドアミラー内で完結させており、実際のところ、オーラのこの構造がシーケンシャルウインカーをドアミラーに装着できる最もスマートな方法といえそうです。
合法化する方法
上記の内容を踏まえると既存の車両でシーケンシャルドアミラーウインカーを合法化するには、まず側面方向指示器を装着し、そのうえで補助方向指示器としてシーケンシャルウインカーを装着するのが良さそうです。
もしヘッドライトのウインカーで側面方向指示器の要件(特に後方からの見通し)を同時に満たすことができればドアミラーへのシーケンシャルウインカーが自動的に補助方向指示器として認められそうですが、現実的ではありません。
そのため合法化する一例としては、サイドフェンダー上に後方からの見通し要件を満たすシーケンシャル点灯ではないサイドマーカーを装着し、そのうえでドアミラーにシーケンシャルウインカーを装着する、などという方法になりそうです。もしくは新型オーラと同じ構造をもつシーケンシャルドアミラーウインカーを装着しましょう。
シーケンシャルウインカーまわりは難しい
シーケンシャルウインカーや方向指示器に関する法規は改正が入ったこともありややこしくなっていますが、つまるところ補助方向指示器としてであれば装着が可能ということです。
適切な側面方向指示器を別で装着することで、ドアミラーのシーケンシャルウインカーを補助方向指示器として機能させることができます。現在入手できる製品の仕様と法規とを照らし合わせながら、車検通過を目指しましょう。