2019年07月17日 (更新:2020年07月29日)
メルセデスのクリーンディーゼルエンジン BlueTEC搭載車種を紹介!
メルセデスベンツでは、古くからディーゼルエンジン車をラインナップしています。再びディーゼルエンジンへの風当たりが強くなっている世界情勢のなかでも、ディーゼルエンジンの可能性に目をむけ、新型クリーンディーゼル搭載車のラインナップを拡大しています。今回は、メルセデスベンツのクリーンディーゼルエンジン・BlueTECとその搭載車についてご紹介します。
メルセデスベンツのクリーンディーゼルエンジン BlueTECとは
エンジンの特長
メルセデスベンツのクリーンディーゼルエンジン BlueTECの最大の特長はAdBlue(尿素水溶液)を排ガス中に噴射することで、ディーゼルエンジンが発生する窒素酸化物をアンモニアに還元。SCR触媒コンバーターを併用し、ディーゼルエンジンが排出する有害物質の80%を水と窒素に変えてしまうというところ。環境に配慮した、まさに画期的なディーゼルエンジンです。
走行するためには尿素水溶液の補充が必要ではあるものの、排出ガスはDPFと尿素SCRシステムが強力な還元作用で浄化してくれます。厳格な排ガス基準値が設定される欧州ユーロ6dに適合させつつ、ディーゼルエンジンのポテンシャルを最大限に発揮できる点が、メルセデスベンツのクリーンディーゼルエンジンの魅力です。
エンジンの種類
メルセデスベンツのBlueTECディーゼルエンジンは、旧世代の2.2L直列4気筒ディーゼルターボと3.0L V型6気筒ディーゼルターボから、新開発の2.0L直列4気筒ディーゼルターボエンジンと3.0Lの直列6気筒ディーゼルターボエンジンに置き換わりつつあり、今後発売されるモデルはすべてこの新型2.0L直4か、3.0L直6エンジンが搭載されることになります。
新世代の2種類のディーゼルエンジンは、ピストンは従来と同じスチールのまま、シリンダーをアルミブロックにしたことで軽量化に貢献。2.0Lディーゼルはエンジンはディーゼルターボ特有の太いトルクを低回転の広い領域に渡って発揮し、燃費性能は約10%の向上を果たしています。
3.0Lディーゼルは、排気側に可変バルブ機構「カムトロニック」を搭載。300PS近いパワーと50kgf・mオーバーのトルクをどの回転でも発揮します。それぞれのディーゼルエンジンは、搭載する車種によって異なったチューンが施され、パワーとトルクは車格に応じて最適化されています。
BlueTEC搭載車種
A200d
メルセデスベンツの最小モデル・AクラスにもBlueTECが搭載されています。2.0L直列4気筒ディーゼルエンジンのスペックは、上位モデルより控えめながらも、最高出力110kW[150ps]/3,400〜4,400rpm、最大トルク320N・m[32.6kgf・m]/1,400〜3,200rpmをマーク。クラスを上回るほどの大きなトルクを、8速ATを介して路面に伝えます。
B200d
コンパクト・マルチパーパスビークルであるBクラスは、Aクラスをベースとしつつも、室内空間を拡大。搭載されるディーゼルエンジンはAクラスと同じであるものの、ディーゼルエンジン特有の分厚いトルクで、Aクラスよりもやや大柄なボディをいとも簡単に加速させます。
C220d アバンギャルド
Dセグメントセダンのなかでも世界トップクラスの性能と品質を備えるメルセデスベンツ Cクラス。エンジンはAクラスと同じ2.0L直列4気筒ディーゼルですが、最高出力は143kW[194ps]/3,800rpmまで引き上げられ、最大トルクは400N・m[40.8kgf・m]/1,600〜2,800rpmを発揮。トランスミッションは9速ATが組み合わせられ、ガソリンモデルと同様の静粛性を保っています。ステーションワゴンにもBlueTEC搭載モデルが用意されています。
E220d アバンギャルド
メルセデスベンツ Eクラスは、Cクラスと並ぶ世界最高水準のサルーンです。ひと回り大きなボディながらもCクラスと同じパワートレーンで過不足ない走行性能を確保。メルセデス伝統のマルチリンクサスペンションには、エアスプリングと電子制御ダンパーが備わり、上質な乗り心地を提供します。
ステーションワゴンモデルと、SUVクロスオーバーモデルの「オールテレーン」にもBlueTECがラインナップしています。
S400d
世界最高峰のプレミアムサルーンであるメルセデスベンツ SクラスにもBlueTECが搭載されています。搭載されるのは3.0Lの直列6気筒ツインターボディーゼルエンジン。最高出力は250kW[340ps]/2,600〜4,400rpm。最大トルクは、同じSクラスのV8ガソリンエンジンモデルと同等の700N・m[71.4kgf・m]をわずか1,200〜3,200rpmで発生させます。4WDモデルの「4MTIC」、ストレッチリムジンの「ロング」にもディーゼルエンジンがラインナンプしています。
CLS220d スポーツ
EクラスやSクラスと共通プラットフォームを用いたファストバックスタイルの4ドアクーペがメルセデスベンツ CLS。他のクーペモデルにはディーゼルエンジン車はラインナップされていませんが、CLSにはEクラスと同じ直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載した、トルクで走らせるスポーツモデルが用意されています。
GLC 220d
メルセデスベンツ GLCは、DセグメントのクロスオーバーSUV。現在マイナーチェンジを控えているGLCに搭載されるディーゼルエンジンは、旧世代の2.2L直列4気筒。最高出力125kW[170ps]/3,000〜4,200rpm、最大トルク400N・m[40.8kgf・m]/1,400〜2,800rpmのスペックは、同じスペックを発揮しながらも、排気量が200cc少ない新型直4ディーゼルの進化ぶりがよくわかります。マイナーチェンジでCLCにも新型BlueTECが搭載されることでしょう。
GLE350d・GLE400d
2019年6月にフルモデルチェンジを果たしたメルセデスベンツ GLE。それによって、搭載されるエンジンも新型ディーゼルへと切り替わりました。GLE 350dに搭載されるのは2.0L直列4気筒ディーゼルターボ。ただし、E 220dなどに搭載されるものよりもチューンが施され、トルクは10kgf・mほど上乗せされています。GLE 400dに搭載されるのは、S 400dと同様の3.0L直列4気筒ディーゼルターボ。こちらはSクラスのものよりもわずかにデチューンされています。どちらも4MATIC(4WD)が標準です。
GLS350d
SクラスのSUV版がメルセデスベンツ GLS。2019年にモデルチェンジを控える現行型GLS 350dには、旧世代の3.0L V型6気筒エンジンが搭載されます。スペックは最高出力190kW[258ps]/3,400rpm、最大トルク620N・m[63.2kgf・m]/1,600〜2,400rpm。新型GLSは新世代の直列6気筒ツインターボディーゼルが搭載され、大幅なスペック向上を果たすことでしょう。
G350d
1979年の登場以来、ほとんどその形を変えていないゲレンデヴァーゲンこと、メルセデスベンツ Gクラス。しかし、中身は時代相応に進化しています。
2018年のモデルチェンジで、ディーゼルエンジンは新世代の3.0L直列6気筒ディーゼルエンジンに換装。ツインターボであるS 400dに対して、より実用的なシングルターボとなるため、エンジンスペックは若干低められています。それでも最高出力210kW[286ps]/3,400〜4,600rpm、最大トルク600N・m[61.2kgf・m]/1,200〜3,200rpmのスペックは重量級のGクラスに充分な加速性能をもたらします。
V250d・V300d
※上記画像はガソリンモデルのV260 Long
メルセデスベンツVクラスは、商用車としても活躍するメルセデス製のフルサイズミニバン。トルク特性に優れるディーゼルエンジンは、積載量の多いVクラスと相性がよく、ディーゼルエンジンならではの余裕あるトルクで、たくさんの人と荷物を運びます。 V250dには新型2.0L直列4気筒ディーゼル。V300dには新型3.0L直列6気筒ディーゼルが搭載され、パワー、燃費、静粛性が旧世代エンジンよりも改善されています。ただし、日本市場に導入されるかどうかは未定です。
まとめ
欧州の一部の都市ではディーゼルエンジンの乗り入れを規制する動きをみせています。また、ドイツでは、2030年までにディーゼルエンジンを含む内燃機関車の販売を禁止すると発表。
二酸化炭素の排出量が少なく、窒素酸化物も効率的に除去できる新世代クリーンディーゼルエンジンは一躍注目を集めましたが、再びその動きにはかげりがみえています。とはいえ、欧州ではまだまだディーゼルエンジンが主流です。メルセデスベンツの新型ディーゼルエンジンは、最新のユーロ6dに適合させ、ラインナップを拡大中。
メルセデスのディーゼル車は、トランスミッションを多段化することでディーゼルエンジンの対応回転数の低さを補いながら、ガソリンエンジンでは発揮しえない大トルクで、けっして軽い車ではないメルセデスベンツを軽々と押し出します。メルセデスベンツの新型ディーゼルエンジンは、まだまだこれからも活躍することでしょう。