カートを始めるには何が必要?費用はどれくらいかかる? | CARTUNEマガジン
カートを始めるには何が必要?費用はどれくらいかかる?

2019年07月02日 (更新:2020年07月08日)

カートを始めるには何が必要?費用はどれくらいかかる?

モータースポーツの基本を学ぶのに最適なカート、基本操作はステアリング・アクセル・ブレーキの3点のみで行い車体を速く走らせることを楽しみ競うスポーツですが、今回は安価で技術を身に付ける事ができるカートについて必要なものや費用などをご紹介していきます。

カートとは

ノブさんの画像
ノブさんの画像
引用元:ノブさんの投稿

カートとは老若男女問わず誰でも楽しむ事ができる最も身近なモータースポーツで、年齢で表すと4歳児〜70代の方まで多くのカーターが存在しています。

カート自体の作りは非常にシンプルで、鉄パイプを溶接したり曲げたりして作られたシャーシにエンジンやタイヤ、シートといった走るために必要最低限の部品を装着した簡素なものとなっています。シンプルな構造のため走りの楽しさは非常に高く、週末には全国にあるカートコースでレースや走行会が開かれています。

フォーミュラドライバーもスタートはここから

フォーミュラワンの舞台で活躍していた有名なドライバーもレーシングカート出身で海外ではアイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ、ルイス・ハミルトン、日本人ドライバーでは中嶋一貴、佐藤琢磨、小林可夢偉などがいます。

カートにはあらゆるモータースポーツの原点が詰まっていて、ドライビング技術はもちろん、車体のセッティング、レース中の戦略やマネジメントまで全ての基本を若い世代から身に付ける事ができます。軽量ボディ、視点の低さ、体感速度などもありますが、ABSやパワステも無いダイレクトな操作は正に車体を扱っているといっても過言ではありません。

現在ではミドルフォーミュラ(Super-FJ、VITA、F4、FIA-F4など)へのステップアップも明確にされているそうで、カートで輝かしい戦績などを残し活躍する事で上のカテゴリーへ向けて企業サポートを受けることもあり、実力次第では更に上の舞台へ進んでいくチャンスも広がっていきます。

カートの種類

銀きりんさんのスカイラインER34の画像
銀きりんさんのスカイラインER34の画像
引用元:銀きりんさんの投稿

カートに乗っている人全てがフォーミュラを目指しているわけではなく、ストレス解消としてモータースポーツを楽しみたい方や、純粋に技術の向上のために乗っている方もいます。カートは最も身近なモータースポーツと言われているくらい本当に誰でも楽しめるものになっています。

もちろんレースも行なっていますので、カテゴリー分けなどのためカートには種類が設けられています。カートを所持できない方でも楽しめるレンタルカートや、マニュアルトランスミッションを搭載した本格的なスーパーカートなどもありますので、実際に種類を見ていきましょう。

レンタルカート

多くのカートコースで貸し出ししてくれる抑えめの性能になっている車体です。スクーターや芝刈り機のエンジンを使用しているものがほとんど、シャーシは頑丈に作られ耐久性・燃費を向上させているといった特徴があります。クラッシュしても衝撃を吸収、ドライバーに怪我をさせないように設計されているため車体にはセーフティーガードというクッション材が装着されています。

エンジンは空冷の4ストロークエンジンが搭載されており時速は約60km/hほどではありますが体感速度は100km/hを超え、タイヤが冷えたまま走ってしまうとすぐにスピンしてしまうほど本格的な物になっています。全体的に車体重量は重めなので安定して走る事ができますが、最初から全開で走行することはお勧めできません。

レンタルカートでも速い人は本当に速く、レンタルカーとの大会ではレーシングカートドライバーと同等、もしくはそれ以上の実力を持った方がいるのも楽しいカテゴリーとなっています。

レンタル料金は周単位、時間単位で設定されているところが多く¥5,000/30分などとなっています。ヘルメットやグローブなど必要最低限の物も貸し出しをしてくれたりします(長袖、長ズボンは自身で準備)ので、カートの楽しみを知りたい方や自分でカートを所持しない人は基本的にこちらのカートに乗ることになります。

スポーツカート

レンタルカートのエンジンをレーシングカートのシャーシに乗せた、近年発展してきている種類のカートです。見た目はレーシングカートと見分けがつかないのですが、速く走ることを追求してあるレーシングカートのフレームでセーフティーガードが排除されているので重量が軽くなっています。

時速も約80km/hとグンと上がってきますので、レンタルカートでは物足りなくなった方へのステップアップグレードのカートです。レーシングカートよりも維持費が安く、レンタルカートよりも速いので人気が出てきているとのことです。

イベントを行なっているカートコースやサーキットもあり、耐久レースなどに1チーム5〜10名ほどの体制で参加する方も多いそうです。

レーシングカート(スプリントカート)

はらちんさんのスプリンタートレノの画像
はらちんさんのスプリンタートレノの画像
引用元:はらちんさんの投稿

カートと呼ばれている物の中で一般的に指されるベーシックなものになり、通常の場合ではレーシングカート=スプリントカートと思っていただいて構いません。特徴としてエンジンの始動は押しがけと呼ばれる少し独特な方法になります。

最近では車やバイクのように電動のスターターを採用しているモデルも販売されているそうなので、押しがけ(慣れるまではかなり苦戦します)が苦手な方はセル付きを購入するのも視野に入れていいと思います。スピンしてエンストすることも多々あり走行時間が経った後に押しがけを行うのは本当に体力がキツかったりもします。

レースに参加する場合、エンジンやタイヤに規定が設けられており極端なチューニングが認められない事もあるのでレースを楽しむ際は主催団体などのレギュレーションを確認しておく必要があります。

エンジンは100ccの2ストロークを搭載しており時速は100km/h〜150km/h程出ますが、しっかりとマシンのコントロールやタイヤマネジメントを覚えておくとそこまでは苦もなく楽しむ事ができます。

ミッションカート

レーシングカートまではギアが1速固定ですが、ここからはギアチェンジが伴います。オートバイ用の6速トランスミッションエンジンが搭載されており、空冷では冷却が間に合わないため水冷式に変わっています。ブレーキもレーシングカートまでは後輪のみでしたがミッションカート以降のカテゴリーは前輪にもブレーキが装着されます。

エンジンは125ccの2ストロークや250ccの4ストロークなどのものがあり、最高速度は220km/hに達する事もあるそうです。シフト操作は右手で行いますが、クラッチは発進時以外使わないので基本はクラッチレスシフトになります。

自動車のようにシンクロ機構がないのでシフトアップ時はアクセルを抜く、シフトダウン時はアクセルを煽るなどの技術が必要になってきます。クラッチは左手側にありますが、走行中の操作はタイムダウンにつながります。

スーパーカート

ミッションカートの上位グレードとして存在しているスーパーカート。カウルキットなどを見るとまるでフォーミュラカー、空気抵抗を低減させるためにドライビングポジションもやや寝そべるようなスタイルになります。スーパーカートは普通のカートコースを走行する事ができないので、もうカートじゃなくてフォーミュラを名乗っても良いような気もします。

GTやフォーミュラカーが走行している富士スピードウェイやツインリンクもてぎなどの4輪サーキット本コースを走行できます。このクラスで高速サーキットのレースになってくると命の危険を感じてしまいそうですが、車体は車に比べて軽く小さいのでとんでもないオーバースピードで侵入しない限り酷い事故にはならなくなっています。

エンジンなどはミッションカートと変わりませんが、全カートそうなのですがサスペンションがないので鍛えていないと腰とお尻は痛くなりそうです…。

カートの価格はどれくらい?

ざっきー@FREESTYLEさんの画像
ざっきー@FREESTYLEさんの画像
引用元:ざっきー@FREESTYLEさんの投稿

車好きが一度乗ると病みつきになるカート、レンタルで満足できなくなってしまったら一度は購入を考えてしまう事だってもちろんあります!自身で所持していた方が操作感などの細かいセッティングを詰める事ができるのでやはりメリットはたくさんありますので、次はカートを購入する際に必要になる金額を見てみましょう。

カートの新車価格

新車の場合の価格はシャーシコンプリートキットや、エンジン付き完成車キット(ダイレクトエンジン)、エンジン付き完成車キット(セルスターター、遠心クラッチ付き)などにより変わってきます。もちろんシャーシやエンジンの種類によって価格も違いますので、何種類か見ていきましょう。

Winforce-TIA 2018モデル フレームコンプリートキット

メインフレーム32φ・30φ
リヤアクスル40φ
制動装置油圧ディスク(自動調整)
フレームカラー
カウルカラー
ホイールアルミ

リアカウル標準装備車。車体の一番基本になってくる場所で、エンジンは別途必要となっていますので、カートに慣れてから購入した方が良いかもしれません。YAMAHA TIA・YAMAHA TIAジュニアクラスの指定シャーシです。

価格¥298,000となっています。

Winforce-TIA 2018モデル ヤマハKT100SD完成車キット

機構空冷2ストローク
バルブシステムピストンバルブ
排気量97.6㎤
圧縮比7.9:1
始動方法押しがけ
キャブレターWARBRO WB-3A
点火方法T.C.I
スパークプラグNGK B9EV
潤滑方式混合(25:1)
変速

シャーシキットにダイレクトエンジンを搭載したモデル。ヤマハ製空冷100ccエンジンですがメンテナンス製が良く維持費があまり掛からないため多くのレーシングカートドライバーに愛されているエンジンです。

始動方式が押しがけになりますのでスピンや低速でのリアロックに気を付けていれば押しがけの必要も少なくなります(始動時の押しがけはどのダイレクトエンジンでも練習が必要にはなりますが…)

価格は¥408,000となっています。

Winforce-TIA 2018モデル ヤマハKT100SEC完成車キット

機構空冷2ストローク
バルブシステムピストンバルブ
排気量97.6㎤
内径×行程52×46mm
圧縮比7.9:1
始動方法セル式
キャブレターWARBRO WB-3A
点火方法T.C.I
スパークプラグNGK B9EV
潤滑方式混合(25:1)
変速遠心クラッチ(乾式SLクラッチ)

シャーシキットにセルスターター・乾式クラッチ付きエンジンを搭載したモデル。上記のヤマハ製空冷100ccエンジンと同じでメンテナンス製が良く維持費があまり掛からないためレーシングカートドライバーに愛されているエンジンです。

始動方式がセル式になりますので誰でも簡単にエンジンをかける事ができ、少々スピンをしても慌てる必要はありません。

価格は¥478,000となっています。

参考:カートプラザヒラノ

カートの中古車価格

新車があるということは中古車もあるということで、こちらもまたシャーシの種類や年式、エンジンなどによって価格が変わってきます。新車の金額を見て少し価格が…と思った方は中古車を買うことでコストを抑える事ができます。

HAASE Mirageシャーシ コンプリートキット

メインフレーム不明
リヤアクスル不明
制動装置油圧ディスク
フレームカラー青系
カウルカラー青系(ステッカー貼付け済み)
ホイールアルミ

リアカウル付属なし、古いカートだそうですがノービス仕様としてはしっかり遊べるそうです。レースでの使用はおススメしていませんが、ホビーカーターにはオススメの一台です。

価格は¥85,000となっています。

HAASE Mirage PRD RK100(中古)完成車キット

機構空冷2ストローク
バルブシステムピストンバルブ
排気量98㎤
内径×行程49.92×50.00mm
始動方法押しがけ
キャブレターWARBRO WB-3A
点火方法CDI・インナーローター
潤滑方式混合(25:1)
変速

メーカーHPでも圧縮比とプラグに関しては非公開でしたので調べきれなかったのですが、押しがけ方式なのでレンタルカートからのステップアップには適していると思います。

価格は¥135,000となっています。

参考:ドリームクエスト

自分で直す楽しみも求めるなら

もしも自身で、もしくはチームとして活動をしていくならカートコースの中古車を購入したり、オークションなどでコツコツ部品を集めながらみんなで持ち寄る楽しみもありますので、メンテナンスなどの自信がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

カートに必要なものは?

Ken Block_43さんのフィエスタの画像
Ken Block_43さんのフィエスタの画像
引用元:Ken Block_43さんの投稿

ここまでに車体やエンジンなどについて触れてきましたが、基本的にはコンプリートとして販売されているのがお分かりいただけたのではないでしょうか?次は実際にカートを運転するために必要になる装備などを見ていきましょう。

ヘルメット

カートは自動車と違い頭部がむき出しになっています。サスペンションがないのでロールなどによる転倒は少なくなってますが、他車とタイヤ同士が接触してしまった際車体が飛んでしまう、コースアウトの際に勢いで転倒してしまうなどの危険はどうしてもありますので必ずヘルメットを装着する必要があります。

スーツ

レンタルカートでは長袖長ズボンで運転する事ができますが、一番いいのはカートスーツとなっています。カートスーツはCIKというFIAのような団体があるのですが、CIAでは「摩耗強度」「引き裂き強度」「貫通強度」といった体に傷を負わないための検査を重要視しています。やはり体がボディに囲まれていない生身の状態なので、怪我対策はしっかりしておいた方が良いでしょう。

グローブ

カート用のグローブももちろん販売されていて、自動車の走行会やドライビング用にも使えますが、FIAの規格を取得していないものもありますので兼用の際は注意してください。軍手やゴム手袋などは避けた方がベターですね。

カートシューズ

レーシングカート・走行会・サーキットなどで着用が薦められていますが、FIAの公認は取れていないものが多いので、FIA公認レースでは使えません。足首をガードしてくれて、ソールが薄くなっているのでペダル操作が格段にしやすくなります。

先ほども述べましたが自動車と違い生身で走るようなものなので、怪我などを防止できるよう最低限のドレスコードはしておく必要がありますね。

レースに参加するにはライセンスが必要

カートのライセンスは3種類あり、JAF(日本自動車連盟)が提供する「JAFライセンス」とヤマハ発動機株式会社と日本カートランド協会によって設立されたSLカートスポーツ機構(SLO)による「SLメンバーズ」、各カートコースが独自に発行しているサーキットライセンスがあります。「JAFライセンス」「SLメンバーズ」は全国各地で使えますが、サーキットライセンスはそのサーキット専用となっています。

ライセンスの取り方

ライセンスの発行自体は簡単な座学と実技講習を受ける事で取得できます。時間は丸一日かかってしまいますが、全国各地のサーキットで行われていますので興味がある方は一度調べてみてはいかがでしょうか?

取得費用はJAFライセンスは会員費込みで約¥22000程、SLメンバーズは会員費込みで約¥13000程となってます。座学には最終的にテストがありますが、講習さえしっかり聞いていれば答えられる程度になっていますので、事前勉強などはあまり必要ありません。

ライセンスを取得できたら、指定された大会やレースに出場したり、定められた成績を収める事でグレードの高いライセンスにステップアップしていく事ができます。

カートにかかる費用は?

99JETTAさんの画像
99JETTAさんの画像
引用元:99JETTAさんの投稿

カートを始める前に年間どれくらい費用がかかってくるのかを知っておいて損はありません。次は車体やライセンス以外にかかってくる金額を見てみましょう。

走行料

実際にカートコースやサーキットを走る際には走行料が必要となってきます。規定周回毎・時間毎で分けられており、レンタルカートの料金よりは割安に設定されています。安いところでは1日¥3500で走り放題などもありとてもお得になっていますので、トランポなどで持ち運びできる方はガンガン走り込めるチャンスがありますね。

タイヤ

カート用タイヤはBRIDGESTONE・DUNLOP・YOKOHAMA・YAMAHAなどで販売されており、安いものでは1台分¥24000程、高いものでは一台分¥38000程となっています。スリックタイヤやレインタイヤなどの種類がありF1さながらのパターンとなっていますのでタイヤ選びの際はちょっとワクワクすることができます。

ガレージなど

保管料はカートコースやカートショップにより幅がありますが、一ヶ月、半年、年間などの単位で分けられているところが多く、契約時の保管期間が長い程割引が多くなっているところがほとんどです。

  • 一ヶ月¥4000〜¥5000
  • 半年¥22000〜¥25000
  • 一年¥40000〜¥50000

などとなっているところが多いですが、カートコースやカートショップに問い合わせてみるとしっかりした金額を教えてもらえますので、カートを所持する際に保管場所がない場合には積極的に利用しましょう。

まとめ

いっしーさんの画像
いっしーさんの画像
引用元:いっしーさんの投稿

最初は長時間走り回ってると首・背中・腕など筋肉痛になったりしますが、慣れてくると体の力の抜き方や、アクセルワーク・ブレーキング・ハンドリング・グリップの感覚など幅広く技術を養う事ができます。サーキット体験のない方やドライビングスキルが頭打ちになっている方はカートを体験することによって新しい感覚を掴むことができます。

レンタルカートでもいいので怪我をしない程度に一度車体の限界まで攻め込んでみましょう、きっとカートの世界に夢中になっちゃうと思いますよ!

新着記事

おすすめ記事