ポスト・イニシャルD!?ナニワトモアレの世界! | CARTUNEマガジン
ポスト・イニシャルD!?ナニワトモアレの世界!

2019年07月01日 (更新:2020年07月09日)

ポスト・イニシャルD!?ナニワトモアレの世界!

突然ですが、「南勝久」という方をご存知でしょうか?来たる2019年に実写映画化が決定された漫画「ザ・ファブル」の作者です。映画化により注目されておりますが、この方のデビュー作品が今回ご紹介する「ナニワトモアレ/なにわ友あれ」です。

第1部の「ナニワトモアレ」は、大阪の高速環状線を走る暴走族に焦点を当てて、不器用ながらもぶつかり合いながら成長する青春人情物語で、数年後の世界を描いた物語が第2部の「なにわ友あれ」です。有名漫画「頭文字D」と時代が被ることなどから、「ポスト・イニシャルD」とも言われますが、果たしてどうなのでしょうか?一緒に見ていきましょう。

ナニワトモアレ/なにわ友あれ とは!?

豆もやしさんのシビックEG6の画像
豆もやしさんのシビックEG6の画像
引用元:豆もやしさんの投稿

「ナニワトモアレ・なにわ友あれ」は先述した通り、実写映画化で話題となった漫画「ザ・ファブル」の作者である「南勝久」先生が、漫画家デビューとなった作品です。講談社の「週刊ヤングマガジン」にて2000年から2007年まで連載されて、コミックも第1部の「ナニワトモアレ」が全28巻、第2部の「なにわ友あれ」が全31巻の合わせて59巻あります。

大阪の高速道路が舞台となり、そこで走る暴走族、通称「環状族」の生きざまを描いた、 笑いあり、涙ありの青春人情物語です。実は作者自身も元「環状族」であった経験を活かし、「環状族」の実態などが鮮明に描かれています。

環状族とは?

MSK9さんのシビックの画像
MSK9さんのシビックの画像
引用元:MSK9さんの投稿

この物語のカギとなるのは、この「環状族」にあります。大阪にある実在の高速道路「阪神高速道路1号環状線(俗名:大阪環状線)」をぐるぐるとまわる走り屋グループですが、普通の走り屋とは違い、違法改造をなされたカスタムカーが複数台固まってグループとなって違法走行を行うという、極めて危険な行為をするグループです。特に昭和60年代~平成初期にかけて、関東における首都高速を廻る「ルーレット族」に対抗するかのように瞬く間にブームとなりました。

しかし警察がこれまでにない取り締まり強化を行うだけでなく、暴走族メンバーの高齢化、そして世間の「暴走族」に対する冷酷な評価などが折り重なり、徐々に衰退していきました。それでも、少数派になった今現在でもなお「環状族」と呼ばれる人たちが健在するのも事実です。

なぜシビックが多かったのか

かさんの画像
かさんの画像
引用元:かさんの投稿

ピークだった当時も「ナニワトモアレ/なにわ友あれ」の作中においてもそうですが、圧倒的に「ホンダ・シビック」の登場率が高いです。「環状族ブームと新型シビックの登場が、たまたま被った」など様々な推測がある中でも、当時ワンダーシビック(3代目AT型シビック)とグランドシビック(4代目EF型シビック)を筆頭に、「カスタム費用が安い」「カスタムしやすい」「カスタムするほど高い性能を引き出せる」など、ホンダ自慢の「VTECエンジン」が登場した説が一番有力だと考えられています。

しかしあまりの人気っぷりに、「危険行為をしない誓約書の提出をディーラーから求められた」や「ホンダ車だけ保険料の値上げ」、さらにはホンダ車専門とする大手チューニングメーカーやショップに家宅捜査が入るなど徹底的に「テコ入れ」が入ったことにより、「環状族ブームの火消し」となったという説もあります。

【ナニワトモアレ】登場人物の紹介

では、「ナニワトモアレ」に登場する人物と使用する愛車をご紹介します。作中では本名らしきフルネームは登場せず、「あだ名」もしくは「呼び名」でしか登場しないのも注目です。

トリーズンレーシング

ヒロ(詳細は後述)を会長とする大阪環状線の走り屋のチームです。チーム名である「TREASON」は英語で「反逆」という意味があります。主人公も一時期加入し物語の中心となる活気あふれるグループでしたが、主人公や主要メンバーが脱退した後は落ち着きながら活動しています。

グッさん

DATSUNさんのセドリックの画像
DATSUNさんのセドリックの画像
引用元:DATSUNさんの投稿

額に傷を背負い、土木作業員として働く「グッさん」と呼ばれるこの青年が「ナニワトモアレ」の主人公です。見た目からもまさに「ヤンキー」と呼ばれる風貌で、女性へのナンパする口実としてS13型シルビアを購入しますが、先輩からの誘いで環状族「トリーズンレーシング」に加入し、様々な仲間やライバルと出会いバトルを経験していくうちに、だんだんと「走り屋」としての自覚が芽生え、様々な混乱の中で「トリーズンレーシング」を脱退し、仲間内と新たな環状族「スパーキーレーシング」を立ち上げます。

マーボ

F.F.R ざっくぅ(-AさんのスプリンタートレノAE86タイヤの画像
F.F.R ざっくぅ(-AさんのスプリンタートレノAE86タイヤの画像
引用元:F.F.R ざっくぅ(-Aさんの投稿

「マーボ」は、普段は工事現場における現場監督業をこなす一方、主人公・グッさんとよく絡む親友でもあります。性格はかなりけんかっ早く、工事現場で鍛えられた剛腕を武器に様々なケンカにも勝つほどの強者です。愛車は初期ではAE86型スプリンタートレノに乗っていましたが、ドリフトや無理な運転を仕掛け事故を起こし廃車にしてしまいます。その後はR31型スカイラインに乗り換えて、グッさんと共に「トリーズンレーシング」を脱退したあと「スパーキーレーシング」を立ち上げ、特攻隊長を任されています。

ヒロ

Fuku&さんの画像
Fuku&さんの画像
引用元:Fuku&さんの投稿

彼は「トリーズンレーシング」の初代会長であり、グッさんやマーボの先輩でもあります。そして物語に登場する中古車ショップ「AutoSalon +1」の店主をしており、グッさんやマーボなどの後輩への面倒見が非常に良いだけでなく、ヒロに関わる全ての人たちからの信頼が絶大にあり、人脈があるのも特徴です。また彼から言う「環状(大阪環状線)なめんなよ」というフレーズがキメ台詞として、物語で頻繁に登場します。愛車はショップ仕込みのワンダーシビック(AT型シビック)です。

ゼン

フルセバスさんのシビックの画像
フルセバスさんのシビックの画像
引用元:フルセバスさんの投稿

ハンコ職人という肩書ながら、張手一発だけで相手を一網打尽出来るほどの最強っぷりを発揮する「ゼン」は、「ヒロ」とは同期のトリーズンレーシングのメンバーの一員でもあります。メルセデス・ベンツの「スリー・ポインテッド・スター」マークがあしらわれたツナギがトレードマークで、「前世はティラノサウルス」と豪語するほどの俊足の持ち主です。車種は「ヒロ」と同じワンダーシビックですが、警察に没収されたことにより、2台目のシビックに乗っています。

プラウドレーシング

続いては、主人公が所属するグループ「トリーズンレーシング」と同等の規模で非常に仲が良く、弟分的存在の「プラウドレーシング」です。主人公・グッさんはじめ「トリーズンレーシング」へのサポートをする大事なパートナー的存在のチームでもあります。一時期は次期会長が就任当日事故で亡くなり、メンバーが起こした抗争「1ヶ月戦争」で壊滅危機にありましたが、何とか立て直しました。

ちなみにチーム名である「PROUD」は英語で「誇り」という意味があります。

ハジメ

後述する「ナオキ」の弟分的存在の「ハジメ」は、人一倍短気で熱くなる性格を持ちながらも、人一倍環状線をこよなく愛していた存在でした。その性格を買われて「プラウドレーシング」の三代目会長として就任することになっていましたが、就任日当日に事故死してしまいます。彼の死はのちに「ナオキ」の心を強く揺さぶるものでした。

ナオキ

燎平さんの画像
燎平さんの画像
引用元:燎平さんの投稿

彼は「プラウドレーシング」の二代目会長で、喧嘩っ早い登場人物が多い中で、面倒見がよく温厚な性格をしています。しかしいざ逆鱗に触れられて怒ると途轍もなく恐ろしく、見るに堪えない拷問までしてしまう場面もあります。

走り屋のテクニックもかなりの一流で慕われる人も多い中で、特に「ハジメ」には絶大な信頼を置いていました。しかし「ハジメ」が事故で死んだあとは、酒に溺れ環状線を走ることを止めていたものの、後に起こった「1ヶ月戦争」を終結すべく発起した人物です。愛車はホンダのCR-Xです。

タク

kosei4622さんのカローラレビンの画像
kosei4622さんのカローラレビンの画像
引用元:kosei4622さんの投稿

ナオキやハジメと同じ「プラウドレーシング」のメンバーである「タク」は、走りにも人間関係も真面目に向き合う人柄です。というのも他グループとの抗争である「1ヶ月戦争」は、元々彼が、他グループのメンバーからの挑発に乗ってしまったことが発端でした。

戦争終結後は「プラウドレーシング」の会長代行的立場となり、自分のけじめをしっかりつけようと努力してました。その努力がナオキに評価され、「プラウドレーシング」の次期四代目として指名されるようになりました。車はTE27型初代トヨタ・カローラレビンに乗っています。

ナニワトモアレはイニシャルDとは一味違ったクルマ漫画!

akiさんのソアラMZ21の画像
akiさんのソアラMZ21の画像
引用元:akiさんの投稿

同じ「カーバトル」「走り屋」繋がりとして、しげの秀一作「頭文字D(イニシャルD)」と比べられることも多いのですが、ナニワトモアレとは「大阪環状線という高速道路が主な舞台」「ナニワトモアレには『警察とのいざござ』も含まれている」など決定的な違いがあり、「頭文字D」は凡人と思われていた主人公が類稀なる才能を発揮し成長するのに対し、「ナニワトモアレ」は、不器用な主人公が現代の人間社会のように様々な人物とぶつかり傷つきながらも成長していくというスタンスで描かれています。

ただ「AE86型スプリンタートレノが登場する」「時代が共に90年代」「登場する車種もかぶるものがある」など、一部共通するものもあります。

まとめ

MakotoさんのシビックEF9の画像
MakotoさんのシビックEF9の画像
引用元:Makotoさんの投稿

いかがでしたでしょうか?大阪の高速環状線を走る暴走族に焦点を当て、不器用な主人公や登場人物たちのぶつかり合いや人情を描いた「ナニワトモアレ/なにわ友あれ」をご紹介しました。ざっくりとした説明となってしまいましたが、他にも主人公たちを弊害するグループや淡い恋心まで描かれており、車に詳しくなくても楽しめる作品となっています。ぜひ一度お手にとって一読してみることをおすすめします。

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