サーキット車両向け!ツインスクロールターボの徹底解説とその搭載車4選! | CARTUNEマガジン
サーキット車両向け!ツインスクロールターボの徹底解説とその搭載車4選!

2020年08月03日 (更新:2020年08月04日)

サーキット車両向け!ツインスクロールターボの徹底解説とその搭載車4選!

「ツインスクロールターボ」の文字を車のカタログなどで見たことはありませんか?また名前は知っていても仕組みはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。今回はそんなツインスクロールターボについて解説します。

ツインスクロールターボってどんなもの?

BMWのツインスクロールターボ。タービンへの排気の入り口が2つあります
引用元:http://autoprove.net/2010/07/1135.html

ターボチャージャーはエンジンの排気を利用してタービンの羽を回し、それにより生み出した空気をエンジンの燃焼室に送り込んでパワーを得るシステムである、というのはこの記事を読むような方ならご存知の方が多いのではないでしょうか。ツインスクロールターボはこの仕組みの中でエンジンの排気をタービンに送り込む部分で工夫が施されています。

具体的には、通常1本であるエキゾーストマニホールドとタービンハウジングからなるエンジンの排気をタービンに導く流路を2つに分け、排気の量が少ない低回転域では1本の流路のみを使い、排気の量が多い高回転域では2本とも使うような仕組みになっているのです。これにより、低回転域でも流路の細さにより圧縮された空気がタービンに伝わり、かつ高回転域でも十分な量の排気がタービンに回るようになり、ターボ車の泣き所である低回転域のレスポンスの悪さを改善しながらもピークパワーもきちんと確保できるのです。

このように低回転域でのレスポンスを確保して実用性を向上させたツインスクロールターボは、排気量を小さくして燃費を稼ぎながらもターボチャージャーにより必要なパワーを確保するダウンサイジングターボによく採用されるようになったことで急速に普及しました。

どんなクルマに搭載されているの?

BMWミニクーパーS、ジョンクーパーワークス(2代目、3代目)

3代目、つまり現行型のミニクーパーS。車好き以外からも人気の一台ですね

日本でも大人気のニューミニの2代目と3代目のスポーツグレードに搭載されているエンジンはツインスクロールターボを採用したターボエンジンです。このエンジンはBMWグループがプジョー・シトロエングループと共同開発したエンジンであり、プジョーの207や208、308などにも広く採用されているエンジンです。

レクサスNX200t

スピンドルグリルが特徴的なレクサスNX200t

レクサスのラインナップの中でもっとも小さいSUVであるNXにもツインスクロールターボが採用されています。

NXに搭載される8AR-FTS型と呼ばれるエンジンは、トヨタ独自のターボエンジン専用直噴技術「D-4ST」とツインスクロールターボを組み合わせた中型車向けの新世代エンジンで、中型車向けのものとしてはハイブリッドシステムに並ぶ重要なパワーユニットとして位置付けられています。

NX以外にはISやRC、RXの「200t」グレード、また特徴的なデザインや「ピンクのクラウン」で話題になった現行型クラウンもこのエンジンを搭載しています。

BMW435iクーペ

BMWの中でも随一の美しいデザインを身にまとう435iクーペ

非常に評価の高いBMW製直列6気筒エンジンでもツインスクロールターボを採用したものが存在します。

N55B30型と呼ばれるこのエンジンは3シリーズ、5シリーズ、7シリーズのようなセダン・ワゴンモデルから4シリーズや6シリーズのようなスペシャリティカー、X3をはじめとするSUVまで幅広い車種に搭載されています。

ツインスクロールターボのおかげで低速トルクに優れるためオートマチックトランスミッションとの相性が良いエンジンとされていますが、現在は後継機でシングルスクロールターボであるB58B30A型エンジンへの置き換えが進んでいます。

スバルWRX STI

車好きなら誰もが知っているであろうWRX STI

先述のように、ツインスクロールターボ搭載車の多くはダウンサイジングターボを採用したクルマが多いですが、実はWRXのような有名なスポーツカーにも搭載されています。

インプレッサ時代からWRX STIシリーズには一貫してEJ20型というエンジンが搭載されてきましたが、その中でもツインスクロールターボを採用しているのは先代モデルとなるGRB/GVB型、また現行モデルのVAB型のみです。

また、スバルのエンジンでは他にもFB16型と呼ばれ、レヴォーグやインプレッサ、XVに搭載される1600ccの新世代エンジンにもツインスクロールターボが採用されています。

ツインスクロールターボのメリット

ツインスクロールターボ搭載車ならターボ車らしからぬリニアなレスポンスも楽しめます。

ツインスクロールターボの一番のメリットは、やはりこれまでに述べてきたように高回転域でのパワーを犠牲にせずに低回転域でのトルクやレスポンスを確保することができる点でしょう。

これにより、ツインスクロールターボを採用することで、一定の最高出力を確保しつつもターボラグを減らし、高回転域で急にエンジンパワーが増すいわゆる「どっかんターボ」のようなエンジン特性ではなく、どの回転域でも比較的扱いやすい特性を持ったターボエンジンにすることができます。

ツインスクロールターボのデメリット

3リッターエンジンツインスクロールターボ搭載の90スープラ。ぎゅうぎゅう詰めです

ツインスクロールターボのデメリットとしては排気の流路を2つ確保しなければならないことによるスペースの確保の問題やコストの問題が挙げられます。

また、特にターボチャージャーについても電子制御が介入する割合の大きい近年の車についてはその制御の難しさも大きな問題になります。

終わりに

あめ♪さんのスープラDB42の画像
あめ♪さんのスープラDB42の画像

いかがでしたでしょうか。このように近年急速に採用車種を増やしたツインスクロールターボですが、その背景にはクルマ作りに関わる様々な理由があります。

読者の皆さんもどんな車種にツインスクロールターボが搭載されているのか、そしてなぜ搭載されているのか、いろいろと考えてみる面白いのではないでしょうか。

車好きコミュニティ『CARTUNE』には、車の投稿がたくさん!あなたもアプリをインストールして参加しましょう!

新着記事

おすすめ記事