2020年12月31日 (更新:2024年02月22日)
レギュラーガソリン車にハイオクガソリンを給油するとどうなるのか
ガソリンはレギュラーとハイオクに分かれていますが、レギュラー車にハイオクを給油するとどうなるかわかりますか?ガソリンの違いをおさらいしつつ、ハイオクガソリンをレギュラーガソリン車に入れることのメリットをご紹介していきます。
レギュラーとハイオクの違い
レギュラーとハイオクの取り扱い云々の前に、この2つのガソリンの違いを知っておきましょう。厳密に言えば細かな成分の違いがあるのですが、自動車の性能面に直結する大きな要素としてオクタン価があり、このオクタン価の違いによってレギュラーとハイオクにわかれています。
ガソリン種類 | オクタン価 |
---|---|
レギュラー | 89.0以上96.0未満 |
ハイオク | 96.0以上 |
日本国内では、このオクタン価が89.0以上96.0未満のガソリンはレギュラーガソリン、オクタン価が96.0以上のガソリンはハイオクガソリンという扱いになっています。では、このオクタン価とはなんなのでしょうか。
オクタン価=アンチノック性
結論をいうとオクタン価=アンチ・ノック性なのですが、オクタン価が何をあらわしているのかを超カンタンにまとめると、燃えにくさということになります。
自動車のエンジンの世界での燃えにくさというのは、勝手に火がついてしまう現象、自己着火のしにくさに置き換えられます。オクタン価が高ければ高いほど、自己着火が起こりにくいというわけです。
自動車のエンジンはスパークプラグで火花を飛ばして火をつけ爆発を起こしますが、このとき、スパークプラグの火花から発生した火炎とは離れた場所から勝手に火がついてしまうことがあります。
これはノッキング(異常燃焼)と呼ばれており、想定していないところで爆発が起きるためエンジンに致命的なダメージを与える可能性が高い現象です。そして、このノッキングの発生を防ぐためにガソリンの自己着火のしにくさ(燃えにくさ)が重要になります。
つまりこれが、オクタン価があらわしている燃えにくさの正体であり、オクタン価=アンチノック性(アンチ・ノッキング性)というわけです。
レギュラーガソリン車にハイオクガソリンを給油した場合
オクタン価の高いハイオクガソリンをレギュラーガソリン仕様の車に使用すると、次のようなことが起こります。
- ほんとうに少しだけ出力が上がる
- エンジン内が少しだけきれいになる
- ノッキングの発生頻度が低下する
ほんとうに少しだけ出力が上がる
レギュラーガソリンとハイオクガソリンには細かな成分の違いがあり、構成している炭化水素の割合や組み合わせが異なります。
その結果、ハイオクガソリンの方がわずかにエネルギー量の大きいガソリンになっており、ハイオクガソリンを入れると少しだけパワーが出るということがあり得ます。しかしこれを走行しながら体感するのは難しいでしょう。
エンジン内部がきれいになる
ハイオクガソリンには、レギュラーガソリンに入っていない清浄剤が入っています。この清浄剤には燃焼室内に堆積しているカーボンやデポジットを除去する効果があり、エンジン内部をもとのキレイな状態へ近づけることができます。しかし、これは長期間ハイオクガソリンのみを使用し続けた場合に限ります。
ノッキングの発生頻度が低下する
ハイオクガソリンはレギュラーガソリンよりもオクタン価(アンチノック性)が高いため、ノッキングの発生頻度が下がります。ノッキング発生時はカリカリという音が出ますが、ハイオクを入れてから音が聞こえなくなった、静かになったという場合はノッキングの発生頻度が下がっているといえます。
結果的に出力が上がることがある
ハイオクを入れることで上記のような効果が見込めますが、特にエンジン内部がきれいになることや、ノッキングの発生頻度が下がることに関しては、結果的に出力が上がる(本来の性能に近づく)ことが考えられます。
エンジン内部がきれいになり性能回復
エンジン内部が清浄されることで、バルブ周囲のカーボンが落ちて吸排気性能が改善されたり、ピストンのカーボンが取れてきれいに爆発するようになることで、現状より出力が上がることが考えられます。
ノッキングによるリタード制御の介入が減る
ノッキングの発生頻度が下がることで、ノッキング発生時に点火時期を遅らせてエンジンを保護するリタード制御の介入が減り、エンジンを効率の良い点火時期で動かせるようになるため、現状より出力が上がることが考えられます。これは高負荷なスポーツ走行時や登坂時などでより顕著になります。
ハイオクを入れると調子が良くなるかもしれない
レギュラーガソリン仕様の車にハイオクガソリンを入れても問題はありません。また、ハイオクガソリンを長期間入れ続けることでわずかながらエンジン内部がきれいになり、パワーや燃費が上がる可能性があります。
しかし、レギュラーガソリン仕様車はレギュラーを使用する前提で設計されているため、ハイオクを入れずとも性能を維持することができます。定期的にオイルを交換する、ちょい乗りとよばれる短距離走行をしないなど、基本的なことを心がけてエンジン内部を汚さないようにしておきましょう。