2019年02月12日 (更新:2023年01月18日)
カナードのメリットやデメリット、車検対応についても解説!
カナードという言葉を知っている方は、かなりの車好きの方か、カーレースに詳しい方でしょう。ただし、カナードの本当の効果を知っている方は、意外に少ないのではないでしょうか。そこで、カナードの効果や、取り付けに際して注意する点を詳しくご紹介します。
カナードとは?
「カナード」とは自動車のエアロパーツの一種で、ボディ周りの空気の流れを制御するためのパーツになります。フロントサイドのカナードの場合ではホイールハウスにたまってしまう空気を引き抜くことでダウンフォースを発生させ、コーナリング時の速度を向上させる役割を持っています。
また、ボディサイドに乱流を発生させることで直進安定性を引き出す役割も持っておりリアウイングのようにそれ自体が大きなダウンフォースを生み出すわけではありませんが、カナードは空気の流れを変え、自動車のボディの様々な箇所でダウンフォースを生むきっかけを作り出しているのです。
カナードは効果がある?
カナードの効果は車にダウンフォースを生み出すことですが、カナードが直接空気の圧力を受けて、車体を押し下げるわけではありません。もしバンパーに取り付けられたカナードにダウンフォースを発生させてしまうと、バンパーが壊れることになります。
また、カナード自体にダウンフォースがあると、ただの抵抗パーツとなってしまいます。ダウンフォースを発生させるのに、カナードには車体を押し下げる効果がないという、一見矛盾した空力パーツのように感じますが、じつはこのカナード、空気の流れに乱流を作ることが目的です。
カナードは乱流を生み出す
走行中、タイヤハウス内には空気が入り込み、車を押し上げようとする力が働きます。タイヤハウス内に入り込んだ空気は、タイヤの下に潜り込もうとしたり、フロア下に入り込んで車を持ち上げようとするので、とても厄介なものです。カナードで生み出された乱流は、タイヤ横で渦を巻くように発生しています。
タイヤハウス内に入った空気を、カーナードで発生させた乱流によって引っ張り出し、車を浮き上げようとする力を無くす効果があります。これにより、高速走行でコーナーに侵入する際、フロントタイヤの接地感が増すので回頭性&安定性に貢献します。このように、カナードはカナード自体に空気を当ててダウンフォースを発生するパーツではなく、カナードによって発生した乱流により、車の浮き上がりを防ぎ、ダウンフォースを発生させるパーツになります。
カナードは賛否両論
レーシングカーなどでもよく見られるカナードですがカナードには賛否両論があり、レーシングカーでもカナードがない車もあります。カナードは、一般的に車の一番前に取り付ける為、空気抵抗となることは避けられません。これを嫌ってカナードを取り付けないレーシングチームもあります。
カナードのメリット
カナード装着にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
接地感や安定感の向上
カナードはホイールハウス内の空気を抜き、ダウンフォースを生む役割を持っています。ダウンフォースは車を地面に押し付けます。それはフロントタイヤの接地感や安定感の向上という形でドライバーに伝わります。高速道路やサーキットなどの高速域で安定した走りを手に入れることができるようになるでしょう。
直進安定性の向上
ボディサイドの乱流が抑制されることで、直進安定性が向上します。高速域での車体のふらつきが気になる方にピッタリのエアロパーツと言えそうです。
ブレーキの放熱を助ける
走行中、ブレーキはとても大きな熱を持っています。街中でも数百度、サーキットなどでブレーキを酷使していると700度近くまで温度が上昇することもあります。ブレーキが高温になっていると効きが悪くなり、ブレーキパッドやブレーキローターの寿命も縮まってしまいます。カナードはホイールハウスの空気を抜くことでブレーキ周りの空気の循環を促し、放熱を助けます。
カナードのデメリット
カナードは車検に通らなくなる場合がある
カナードを装着すると、多くの場合車検不適合となってしまいます。これはストリートユーザーには最も大きなデメリットであるといえます。平成29年4月1日より、乗用車の外部突起に係る新基準が適用されています。
この基準は「曲率半径が2.5ミリメートル未満である突起物を有してはならない」というものです。大きなサイズのカナードは「危険な突起物」と認識され、車検の際に指摘されてしまうでしょう。しかしカナードが車両の全長や全幅の最端にならないこと、角の部分が半径2.5㎜以内に収まっていること、等の基準を満たし「鋭利な突起物でない」と認められれば車検対応となります。
最近では車検対応をうたった汎用品や純正オプションが存在しているようなので、ご自身の車に取り付ける際はそうしたものを参考にするとよいでしょう。保安基準に適合するか否かをご自身で断定するのは困難なので、カナードを取り付ける場合最寄りのディーラーや整備工場に一度相談することをお勧めします。
自動車のボディの突起物には、歩行者や自転車を保護するために保安基準で、突起物の大きさや素材、そして取り付ける素材の硬さと取付方法が決められています。そのため、レーシングカーが取り付けているカナードをそのまま取り付けて公道を走行することは、基本的に不可能といえるでしょう。
保安基準をわかりやすく読み解くと、「自動車の最も外側からはみ出さず、鋭い突起物を有しないエアロパーツの基準を満たしたパーツ」でなければなりません。数字的には、直径100mmの球体が接触できる場所に、半径2.5mm未満の鋭い突起物は取り付けることができません。ただし車体から5mm未満であれば、角を丸めることで取り付け可能となります。
硬さは消しゴム程度に
硬さは、60ショア以下の硬さ(消しゴム程度の硬さ以下)でなければなりません。取付方法は、安易に外れないボルトや溶接などを使用して取り付けることが義務付けられており、両面テープなどでは簡単に外せるので、保安基準不適合となります。この他、バンパーの下側から垂直にせりあがるタイプのカナードは、基本的に取り付けることができません。
それは、車検証記載のボディー寸法とかけ離れてしまうからです。ただし、車体から20mm以内であれば取り付けることは可能です。このように、細かく規定がありますが、車検対応のカナードを取り付けていても、車検時には現場の検査官の判断にゆだねられるところが大きく、カナードを取り付けると車検に通らない場合があるため注意が必要です。
カナードを自作してみよう!
カナードはフロントバンパー脇に設置すると大きな効果を得られます。しかし自動車のバンパーはそれぞれ独自の形状をしているため、サイズがぴったりとあったものを装着するためには自作する必要があります。
カナードを自作する場合、FRPやアクリル板を使うのがおすすめです。段ボールを使って型を取り、それをベースにオリジナルのカナードを作ってみましょう。ただし、アクリル板は熱に弱いという特徴があります。
アクリル板で作ると夏の直射日光や高温で溶けてしまう場合があるので注意しましょう。カナードの大きさを決める際のポイントは車の全長や全幅を超えないようにすることと、角を尖らせないようにすることです。
カナードが完成したら走行中に飛んで行ってしまわないように両面テープやボルトナットを使ってしっかりと固定しましょう。そして走行前には必ずカナードが外れかかっていないか、破損していないかを点検しましょう。
DIYで取り付ける際のポイント
DIYで取り付ける際にポイントとなってくるのは、カナードの角度です。カナードを垂直に近い角度で取り付けてしまうと、大きな空気抵抗となってしまいます。しかし、水平に近い角度で取り付けると今度はダウンフォースの量が少なくなってしまいます。空気抵抗を大きくせずにダウンフォースを得るには20度~40度程度の傾きをつけるといいようです。
また、カナードをまっすぐではなく曲面構造とすることでより大きな効果を得られます。レーシングカーを参考に、ご自身で走行テストを重ねて理想の角度を見つけましょう!
まとめ
カナードは、レーシングパーツとしてはかなり効果の高い空力パーツとなりますが、一般道を走る分にはドレスアップ目的で取り付けることになるでしょう。ドレスアップ目的で取り付ける方は、車検対応品を選んで取り付るか、車検対応サイズを自作し取り付けるようにしましょう。
サーキットで効果を発揮するカナードはかなり鋭利な形になるので、一般道での使用はしないようにして下さい。保安基準に注意して、かっこいいカスタムカーを目指しましょう!