世界のラリーストの憧れ!『FIA WRC』とはなにか!?

2019年07月21日

世界のラリーストの憧れ!『FIA WRC』とはなにか!?

label車雑学

数々の歴史とドラマを生み出してきたWRC。毎年開催されるラリーには、世界中から熱い視線が注がれます。公道や未舗装路を高速で駆け抜けるラリー競技にはF1などの周回競技にはない魅力があります。中でも、はラリーストを名乗るドライバーなら一度は走ってみたい最高峰の舞台がFIA WRCなのです。そこで今回は、このFIA WRCがどのようなレースなのか、歴史に名を残す名ラリーカーや主要な開催地と共にご紹介します。

FIA WRCとは

FIA WRCとは、〝FIA World Rally Championship〟の略称です。現在、FIA(国際自動車連盟)がモータースポーツの公式な世界選手権として認めているのはF1とWRCの2つしかないため、WRCはラリー競技の頂点となるレースなのです。

それまで、各地域で単独開催されていたラリーをイベントとして一本化し、世界選手権としてスタートさせたのが1973年のこと。1950年創設のF1世界選手権に次いで古い歴史を持ちます。競技には市販車をベースに改造を施したラリーカーが用いられ、公道や競技場に設置されたスペシャルステージと呼ばれるコースを走行。タイムアタックを行い、全コースの合計タイムで順位を競います。

サーキットで行う周回競技ではないため、あらゆるアクシデントが発生する可能性があります。しかし、それだけ観戦上の見どころも多く、熱狂的なファンが世界中にいます。

WRCの特徴

引用元:www.wrc.com

ラリーカーには2名の乗車が必要

F1などと比べ大きく違うのが、WRCではラリーカーにドライバーとコ・ドライバーの2名の乗車が必要という点。ドライバーは実際にラリーカーを運転する役割なのですが、コ・ドライバーもラリーにおいて重要な役割を持っています。

コ・ドライバーの役割とは、コースに関するコーナーのアールや最適な突入角、路面状況など、ドライバーが最も速いタイムを出すために必要な情報が書かれたペースノートを読み上げ、ドライバーをサポートすることです。ドライバーにとって、コ・ドライバーの読み上げるペースノートは正に命綱。2人の信頼関係があって初めて成り立つ競技なのです。

市販車がモンスターマシンに!?

WRCに用いられる競技車両は、市販車をベースに製作されるため、エアロパーツなどが装着される以外は外観はほぼ変わりません。

しかし、中身はほとんど別のクルマといえるほど改造が施されています。エンジンに始まる内燃機関、各ボディパーツ、内装、駆動方式にまで手が入れられており、市販車だったころの面影はほとんど残っていないモンスターマシンとなっています。

周回競技とは異なるコース

F1など、周回競技はサーキットを走行して競いますが、WRCでは一時的に閉鎖した林道や一般道を走行します。そのため、観客席が設営されることは少なく、観客の目と鼻の先をラリーカーが疾走していくことになります。ラリーカーがコースから外れてしまうケースもあるため危険が伴いますが、それでも名物コースには熱心なファンが詰めかけます。

また、本来はルール違反となりますが、コースアウトしたラリーカーを観客総出でコースに戻すような場面が見られるのはWRCならではだと言えるでしょう。

FIA WRCで活躍した車両

引用元:toyotagazooracing.com

1986年以前

ミニ・クーパーS

引用元:toyotagazooracing.com

乗用車としても高い人気を誇るミニですが、名声を最も高めたのはラリーでの活躍でした。特に、ラリー・モンテカルロでの活躍は目を見張るほどで、1964年、1965年、1967年には同ラリー総合優勝を飾っています。

また、グラベルコースでの走行性能は圧倒的であり、ラリー・フィンランドでは1965年より3年連続で総合優勝した実績を残しています。エンジン出力こそ控えめ。しかし、小柄なボディゆえの軽さとパワーウエイトレシオに優れ、軽快なハンドリングこそミニ・クーパーの武器だったのです。

アルピーヌ・ルノー A110 1800

引用元:toyotagazooracing.com

A110は、アルピーヌ・ルノーが送り出したリアエンジンのスポーツカーです。車重600kg~という軽さと高い路面追従性を持ち、大径タイヤを装着することができる長いサスペンションで舗装路/グラベルコース問わず高い性能を発揮しました。

1970年以降、アルピーヌは主要タイトルがかかったラリーにA110を送り込みます。1973年にFIAWRCが創設されると、A110は全13戦中6戦も勝利。特に、開幕戦と最終戦では表彰台に登ったドライバーの車両は全てA110でした。

ランチア・ストラトス HF

引用元:toyotagazooracing.com

ラリーカーを語るなら、外せないのがこのランチア・ストラトスでしょう。前述した通り、ラリーカーは市販車をベースに改造して仕上げるモノですが、このクルマに至ってはそうではありません。

市販車も存在してはいますが、それはこのストラトスをWRCに参加させるための公認を取るためだけに発売されたモデル。いわば、ランチア・ストラトスは純粋にラリーに勝つためだけに開発された究極のラリーカーなのです。

フェラーリ製ディーノV6エンジンをミドシップに搭載し、1974年のラリー・サンレモに初出場し初優勝。翌年には出場7戦中4戦を制覇。1976年には出場9戦中4戦で勝利し、3年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得します。こうして、ランチア・ストラトスはラリーカーの究極系として語り継がれる存在になっていったのです。

トヨタ・TA64型セリカ・ツインカムターボ

引用元:toyotagazooracing.com

トヨタのセリカ・ツインカムターボがデビューしたのは1983年の1000湖ラリー(現・ラリーフィンランド)です。

しかし、スプリントタイプのレースではトラクション面で4WD車より分が悪く、1984年開催のRACラリーのペル・エクルンドの3位が最上位でした。ところが、WRC出場2戦目となった1983年のアイボリー・コーストラリーでまず1勝。続く1984年のサファリ・ラリーでも優勝。1年後のサファリでもドライバーのユハ・カンクネンがWRC初優勝を飾り、アイボリーコーストも制覇します。

そして、グループB最終年となる1986年にはサファリとアイボリーコーストの両方を制覇。セリカ・ツインカムターボは、アフリカで開催された全WRCイベントで優勝するという快挙を成し遂げたのです。

1987年以降

スバル・インプレッサWRX

引用元:toyotagazooracing.com

1980年代、スバルは毎年サファリ・ラリーに挑戦していましたが、1990年より初代レガシィにてWRCにレギュラー参戦。その後、1993年に満を持して投入したのが当時の新型・インプレッサだったのです。

このインプレッサは初代レガシィで鍛えられたエンジンと4WDシステムを、よりコンパクトなボディに搭載したモノでした。水平対向4気筒エンジンと低重心により軽快なハンドリングと俊敏な動きが特徴的なラリーカーに仕上がっており、世界中にスバルファンを生み出しました。このマシンのボディカラーに採用されていたブルーこそ、現在でも人気が高いスバルのブルーとして使われている色なのです。

三菱・ランサーエボリューション V

引用元:toyotagazooracing.com

三菱は1992年までにギャランVR-4によりWRCでは6勝を挙げていました。その後継として1993年に投入されたのがランサーエボリューションです。

最大の武器は、油圧作動ではない電磁式のディファレンシャル。これに、電子制御の駆動力分配システムとロングストロークエンジンを組み合わせることで、ランサーエボリューションは1996年に三菱初となるWRCドライバーズタイトルを獲得します。快挙はこれだけに留まらず、1999年まで4年連続でWRCチャンピオンに輝くという大記録を打ち立てたのです。

プジョー・206WRC

引用元:toyotagazooracing.com

1997年より、WRCにはワールドラリーカーという新しいカテゴリーが導入されました。この規定により、プジョーはコンパクトカー・206に2Lターボエンジンに4WDシステムを組み合わせたモンスターマシンを1999年に投入したのです。

206WRCは、2000年と2002年にWRCを制覇。プジョー自体は3年連続でマニュファクチャラータイトルを獲得します。その後、2012年まではフランス車がWRCのレースシーンを牽引することになりますが、そのきっかけとなったマシンがプジョー・206WRCなのです。

FIA WRCはどこで行われている?

引用元:toyotagazooracing.com

ラリー・アルゼンチン

ラリー・アルゼンチンは1980年から始まったコダスール・ラリーから始まりました。出発点を首都ブエノスアイレスから約750キロ離れた、同国2番目の都市・コルドバの郊外カスロス・パスとし、「1年で最も美しいラリー」と評されます。

ソフトとハードグラベルのミックスコースが多く、起伏に富んだ難しいラリーの一つ。ただし、ジャンピングスポットや川渡り、名物ステージ「エル・コンドール」の存在もあり熱狂的なファンが詰めかけることでも知られています。

ラリー・フィンランド

毎年50万人が訪れる北欧最大のイベントがラリー・フィンランドです。1951年開催のラリー・モンテカルロの予選としてスタートし、WRCのレースとして組まれたのは1973年のこと。同イベントでも屈指のハイスピードコースであり、平均速度135km/h、最高速度は200km/h以上にも達します。

フィンランド中部のユヴァスキュラ周辺の林道グラベルコースであり、ヤンプスと呼ばれるジャンピングスポットや見通しの悪いカーブ、起伏が連続するドライバーの腕と精密なペースノートが必要とされるコースとして知られています。

ラリー・メキシコ

ラリー・アメリカとして、1979年にスタート。未舗装路を走るグラベルラリーとしては高速ラリーになりやすく、乾燥した気候のため砂埃が多く巻き上げられます。

首都であるメキシコシティから北西約400km地点、都市レオン周辺で開催され、世界遺産に登録されているグアナフアト市街地では、かつて採掘が行われていた鉱山の地下道までも走行します。標高は2000mを越えるため、エンジンの吸気にも多大な影響があり、ターボエンジンは1/4もパフォーマンスが低下するとも言われています。

ラリー・スウェーデン

現在開催されているWRCイベントでは、唯一のフルスノーラリーとして有名なラリー・スウェーデン。開催当初こそ真夏の白夜の中行われるラリーでしたが、1965年より真冬のイベントとして開催。氷点下20度というコンディションで、油圧などの機能低下、インテークに雪が詰まってオーバーヒートを起こすこともある難易度の高いコースです。フィンランドに次ぐ高速イベントであり、マシンのフロントを雪に当てて車体の方向を変える特殊なテクニックも使用されます。

また、高速ジャンピングスポット「コリンズ・クレスト」があり、多くの観客が詰めかける名物スポットになっています。ここでは、2008年より毎年最長飛行距離を記録した選手に「コリンズ・クレスト賞」が授与されるなど、他のラリーにはない見どころが多く詰まっています。

FIA WRCのまとめ

モータースポーツの中でも、最も過酷でタフなレースだと言われるWRC。トヨタ・ヤリスの活躍もあって、注目している方も多いのではないでしょうか。険しい林道や、乾燥した砂漠、石畳の舗装路など、あらゆるコースで最速を目指し、ギリギリの所を駆け抜けて行くラリーカーは大迫力です。WRCには見どころ満載。興味を持っていただけたら幸いです。