ヴィッツが380馬力!?モンスター級ラリーカー、ヤリスWRC

2019年06月13日

ヴィッツが380馬力!?モンスター級ラリーカー、ヤリスWRC

labelヴィッツ label車雑学

2017年から再びWRCへの参戦を果たしたトヨタ。トヨタのワークスチームであるTOYOTA GAZOO Racing WRTは参戦3年目にして、輝かしい成績を残しています。2018年シーズンはマニュファクチャラーズタイトルも獲得しました。そんなTOYOTA GAZOO Racing WRTがWRカーとして用いているのがヤリスWRCです。今回はヤリスWRCを徹底解剖してみました!

ヴィッツ最強ラリーカー!ヤリスWRC

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/release/2019/rd06-day3.html

街乗りを中心に老若男女から親しまれているコンパクトカーのヴィッツ。ヴィッツはトヨタが欧州市場での販売シェア拡大を図るために開発し、1999年に発売した小型車です。カテゴリ的には欧州Bセグメント車に位置しており、高い人気を博しています。

日本ではお買い物カートしてのイメージが強いヴィッツですが、欧州市場ではスポーティーな車としてのイメージが強くなっています。その理由は、トヨタが世界ラリー選手権(WRC)にヴィッツをベースとしたWRカーで参戦しているからです。

近年のトヨタは、日本でもヴィッツのイメージを変えようとしています。実用性が高く使い勝手の良いサイズ感を実現しているヴィッツは普段使いに最適ですが、2010年にフルモデルチェンジしてからというもの、トヨタはヴィッツにスポーティーな走りを実現したスポーツグレードを充実させています。

ヤリスWRCとは

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/report/2019/01/gallery.html

トヨタのWRCチームである「TOYOTA GAZOO Racing WRT」は、2019年現在、WRC参戦からわずか3年目にしてポイントランキング上位常連の成績を残しています。そんなTOYOTA GAZOO Racing WRTがWRカーとして用いている車両が「ヤリスWRC」です。

ヤリスはヴィッツの日本国外での車名のこと。主戦場である欧州市場や北米ではヴィッツの車名は用いられておらず、ヤリスとして販売されています。そんなヤリスをベースに大掛かりなチューニングを施し、凄まじいパフォーマンスを実現しているWRカーがヤリスWRCなのです。

全体的なフォルムやフロントマスクなどはヤリスそのものですが、空力性能を向上させるエアロパーツや大型リアウイング、ワイドボディの装着によって、コンパクトで可愛らしい印象は一切ありません。ホワイトを基調にレッドとブラックでアクセントを施したカラーリングはとてもレーシーです。

TOYOTA GAZOO Racing WRTのWRC参戦は2017年ですが、ヤリスWRCの開発はもっと前から行われていました。2014年時点でヤリスWRCのテストカーが欧州各地で確認されています。

ヤリスWRCのスペックを紹介

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/report/2019/06/gallery.html

TOYOTA GAZOO Racing WRTが参戦した2017年に、WRカーのレギュレーションが大幅に変更されたことで、2017年以前のWRカーよりも大幅なスペックアップを施しているWRカー。

新たなレギュレーションに基づいて開発が進められたヤリスWRCも、圧倒的な運動性能・走行性能を実現しています。ヤリスWRCの驚異的なスペックに比べたら、同じくトヨタのスポーツカーである86やスープラも大したスペックではありません。

エンジン 直列4気筒直噴ターボエンジン
排気量(cc) 1,600
駆動方式 4WD
最高出力 380馬力以上
最大トルク 425Nm以上
トランスミッション 油圧式6速シフト
サスペンション 前後:マクファーソン・ストラット
全長(mm) 4,085(空力パーツ込み)
全幅(mm) 1,875
全高 調節可能
車両重量(kg) 1,190

こちらがヤリスWRCの主要スペックになります。驚異的なスペックを実現していることが一目瞭然ですね。

ヤリスWRCはワークスチューンを施した競技車両なので当たり前といえば当たり前なのですが、市販車でヤリスWRCの右に出る車はごくわずかです。

エンジンの詳細

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/report/2019/03/gallery.html

ヤリスWRCは、トヨタの欧州市場でのモータースポーツ活動を統括するTMG(トヨタモータースポーツ有限会社)製のグローバルレースエンジンを搭載しています。設計に関わっているのはトヨタのF1エンジン開発にも携わったメンバーばかり。

排気量は1.6LとヤリスWRCに過激な走りをもたらすエンジンとしては意外にもコンパクトな印象を受けます。この1.6L直列4気筒直噴ターボエンジンは公表値で、最高出力380馬力以上、最大トルク425Nm以上を叩き出すモンスターエンジンです。

この出力は、4.0Lクラスの自然吸気エンジンに相当する数値となっています。WRCを戦い抜くためのパワーだけでなく、過酷なコースを問題なく走破するために高い耐久性も実現しました。

ピーキーなイメージがありますが、実際は様々な環境で走行するドライバーのために乗りやすさも考慮されています。一般的なスピードで走行させるだけなら特別な技術は必要なく、私たちでも十分に運転できるそうです。

足回りの詳細

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/report/2019/02/gallery.html

ヤリスWRCのサスペンションは前後マクファーソンストラット式を採用しています。WRカーはサーキットのように整備された路面で走行するわけではないので、超高性能かつ優れた耐久性が備わったサスペンションが必須です。

ヤリスWRCは舗装路から未舗装路、悪路までを猛スピードで走行するために専用開発のサスペンションを採用しています。そのため、WRCで盛り上がるシーンのひとつである空を飛んでいるかのような大ジャンプも、着地時にサスペンションが衝撃をしっかりと吸収してくれているからこそ実現できているのです。

ブレーキに関してはコースに合わせて最適なものをチョイスします。例えば舗装路(ターマック)では制動性能の高いブレーキディスクを装着しますが、未舗装路(グラベル)では大きな制動力を必要としないため、舗装路よりも小型のブレーキディスクを装着します。

ボディサイズの詳細

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/cars/2019.html

ヤリスWRCはベースのヤリスと比べて、ボディサイズがひと回り以上拡大されています。まずはそれぞれのボディサイズを簡単に比較してみましょう。

ヤリスWRC ヤリス
全長 4,085mm※1 3,945mm
全幅 1,875mm 1,695mm
全高 調整可能 1,500mm
ホイールベース 2,511mm 2,510mm
車両重量 1,190kg※2 1,010kg

  • ※1 空力パーツを含んだ数値
  • ※2 最低重量

こうして見比べてみると、ヤリスWRCのボディサイズがいかに大きいか伝わると思います。全長は大型リアウイングなどの通知を含んでいるのでともかく、全幅に関しては180mmも違いがあります。ヤリスWRCの全高に関しては不明です。

ヤリスからホイールベースがわずか1mm拡大されていますが、これには何か意味があるのでしょうか。大掛かりなチューニングを施しているにもかかわらず、車両重量の増加は最小限に抑えてあることがわかります。

ヤリスWRCの外観・内装をチェックしてみよう!

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/report/2019/03/gallery.html

続いてヤリスWRCの外観と内装をチェックしてみましょう。走行中は大勢の人がWRカーの姿に注目することになるため、多くの人が純粋にカッコいいと感じる外観を実現している必要があります。もちろん、走りのパフォーマンスを実現している上での話です。

内装に関してはドライバーファーストで、必要なものしか採用されていません。その代わり、ドライバーの安全を確保する安全装備やアクシデントに対処するためのツールが常備されているようです。

外観

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/cars/2019.html

ヤリスWRCの外観はまさにレーシングカーそのもの。ひと目で印象に残るド派手なカラーリングはもちろん、ボディの至る所にオフィシャルパートナーのロゴが貼られています。大迫力のエアロパーツ群ですが、この形状のひとつひとつに重要な役割があり、無意味なものはありません。

フロントバンパーの大型ディフューザーや2重構造の大型リアウイングなどは空力性能を向上させるためのものです。大型リアウイングに関しては強力なダウンフォースでボディを地面に押さえつけ、エンジンパワーを路面に伝える役割があります。

WRCは競技自体が夜間に行われることもあります。コース中には灯りがほとんどないため、ボンネット上にライトポッドを装着しなければなりません。ライトポッドには6つのライトが備わっており、市販車のヘッドライトより広範囲を照らすことができます。

内装

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/cars/2018.html

ヤリスWRCはダッシュボードやスイッチ類がすべて排除されています。これは出来る限りボディを軽量化するためです。走りに関する装備以外はすべて取り外されているため、ほとんど鉄板がむき出しのような状態になっています。

WRカーは2人乗りです。重量配分を考慮した上で2つのシートが車内空間の真ん中付近に固定されています。重心を出来る限り低くするために、助手席は運転席よりも低い位置に設置されています。

シートはドライバーの体に最適化されたものが装着され、シートベルトは6点式、どんな状況でも体が揺さぶられることはありません。安全性を確保するためだけでなく、正確なドライビングを実現するための必需品です。

安全確保のための装備が多い

WRカーの車内は太いパイプが張り巡らされていますが、これはロールケージと呼ばれる安全装備で、モータースポーツを行う上で必ず装着しする必要のあるアイテムです。ロールケージがあれば、万が一車が横転してしまってもドライバーの安全を確保することができます。

ヤリスWRCの内装は最低限ですが、走行中に発生したアクシデントに対応できるように、基本的な工具類やスペアタイヤ消火器などの搭載が義務付けられてます。競技中にアクシデントが発生した場合は、ドライバーとコ・ドライバーが協力して対処します。

ヤリスWRCの戦績

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/report/2019/06/gallery.html

TOYOTA GAZOO Racing WRTが誇る最強WRカー、ヤリスWRC。その戦績はどのようになっているのでしょうか。TOYOTA GAZOO Racing WRTとヤリスWRCは2018年、参戦してからわずか2年目にしてマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。

現在開催されている2019年シーズンは5月に開催された第6戦「ラリー・チリ」時点で、マニュファクチャラーズランキング第2位となっています。現時点で第1位となっているのは、TOYOTA GAZOO Racing WRT最大のライバルであるHyundai Motorsportです。

現時点で第3位となっているシトロエントタルWRTとTOYOTA GAZOO Racing WRTのポイントは僅差なので、厳しい状況に立たされています。ですが、2019年もマニュファクチャラーズタイトルを獲得して2連覇を成し遂げてくれるでしょう。

まとめ

引用元:https://toyotagazooracing.com/jp/wrc/report/2019/04/gallery.html

今回はTOYOTA GAZOO Racing WRTが誇るWRカーであるヤリスWRCについて徹底解説しました。まさに羊の皮をかぶった狼という印象で、ベース車がヴィッツとは思えない過激なパフォーマンスを実現しています。

これからもTOYOTA GAZOO Racing WRTとヤリスWRCは輝かしい戦績を築き上げてくれるはずです。2020年はWRCの開催地域に日本が選出される可能性が高まっているため、久しぶりに日本のモータースポーツが盛り上がりそうです。

今のうちにWRCの知識を蓄えて、TOYOTA GAZOO Racing WRTとヤリスWRCを応援しましょう。「ラリー・ジャパン」の開催はもう目前です!