最低限知っておきたいチタンのこと

2019年05月27日

最低限知っておきたいチタンのこと

label車雑学

自動車のエンジン部品や、カスタムパーツにも使われているチタン。名前は聞いたことがあっても、どういう金属なのか知らないという方も多いのではないでしょうか?今回は、その疑問にお応えすべくチタンについての基礎知識をご紹介します。

チタンの基本事項

定義

チタンは、原子番号22の元素で「Ti」と表します。

地球を構成している地殻の成分の中でも9番目に多い元素であり、鉱物の仲間であるルチルやチタン鉄鉱の主成分です。

自然界に豊富に存在しているものの、精錬の難しさから工業製品への実用化にいたったのはまだ50年ほど前のこと。鉄や銅に比べて歴史自体も浅い、新しい素材です。

特長

チタンは性質的にはジルコニウムに近く、酸化化合物である酸化チタンは非常に安定的な物質であり、光触媒としての性質も持っています。

この性質が、チタンに金やプラチナといった貴金属にも肩を並べるほどの耐食性と安定性をもたらしているのです。

また、貴金属は元素番号第5周期に属する重金属ですが、チタンだけが第4周期の軽金属です。

チタンのメリット

高強度

チタンはとても丈夫な金属です。

比強度でいえば、鉄の2倍、アルミの3倍もの強度を誇ります。耐衝撃性も優れているため、高い強度が要求される工業製品の素材として広く用いられます。

また、非常に強靭で塑性にも富んでいるため、少しの曲がり位では元に戻ってしまいます。

耐熱性も高く、鉄が約1530℃、銅で約1080℃ほどで溶けてしまうのに比べ、チタンが融解する温度は約1660℃と群を抜いています。

軽量

圧倒的な強度、強靭さを持っているチタンですが軽量なのも特徴。

鉄の約2/3、銅と比べると半分ほどの重さしかないのです。そのため、日常的に使用される調理器具や食器、ゴルフクラブやラケット等のスポーツ用品にも使用され、義手や人工骨といった医療品にまで用いられるようになっています。

耐食性に優れている

錆びない金属といえばステンレスなどが思い浮かびますが、チタンも錆びにくい性質を持っています。特に、他の耐食性が強いとされる金属のなかでも、チタンは海水にも耐えうる高い耐食性を持っているため、船舶のプロペラシャフトなどへの採用実績もあります。

金属アレルギーを起こしにくい

金属アレルギーは、金属と汗などに含まれる水分が反応することにより発生したイオンが原因となって引き起こされます。

しかし、チタンはこのイオンをほとんど発生させません。そのため、人体にも優しく安全な金属であると言われています。

また、生体親和性が非常に高く、金属ありながら骨と結合することが出来ます。整形外科の分野で利用が広がっているのは、そういったチタンの性質があるからなのです。

見た目がかっこいい

チタンは見た目も非常に美しい金属です。

耐久性や耐食性という性質に加えて、表面処理によってさまざまな発色をさせることが出来ます。

光沢、金属の質感すら自在にコントロールできてしまうので、指輪やネックレスといったデザインジュエリーへの採用も増えています。

また、チタンの見た目がいい!と思われている自動車ユーザーの多くは、マフラーのテールエンドに青く入れられたヒートグラデーションのイメージが強いのではないでしょうか。

ヒートグラデーションは、チタンの放熱性の悪さを逆手に取った技術。多くのマフラーに見られるような青色は200~250℃位でつくとされていて、それを超える温度になると紫から黒に変色していきます。

ただし、メーカーが販売しているヒートグラデーションが付いたテールエンドは単に熱しているのではなく、表面に複雑な電解処理を施しているため。

無理やりバーナーなどを使って色を付けようとすれば色にムラが出たりしてしまいます。もし行う場合は慎重に行いましょう。

しかし、チタンのヒートグラデーションはそれだけ人を引き付ける美しさを持っています。一目で「チタンのマフラーだ!」と分かる分かりやすさも人気の理由でしょう。

デメリット

コストが高い

チタンは金属の中でも、特に製造コストが高い金属としても知られています。

現在、チタンはクロール法と呼ばれるマグネシウムの熱還元を利用した方法で精製されていますが、このチタン元素を抽出・生成するための還元にかかるコストが非常に高いのです。また、マグネシウムの製造自体にも膨大な電力が必要になるため、製造までにエネルギー・時間・労力が必要とされるチタン製品は非常に高価である場合が多いのです。

加工が難しい

チタンは、それ自体の強度から溶接やプレスでの成形も難しい難削材と呼ばれています。

加工を行うためには大規模で専用の設備が必要になるため、簡単に扱えるような金属ではありません。

また、チタンの切り粉に火が付いた時は特に注意が必要。慌てて水をかけてしまうと、高温になったチタンが水の分子から酸素のみを奪って水素を発生させるので、最悪の場合水素爆発を起こしてしまう危険性すらあるのです。

チタンを使った自動車部品

シフトノブ

Beatrushのシフトノブは、チタン削り出しの本格仕様。

純正品と交換するだけで取り付けられるので、お手軽さも魅力です。価格は11,219円~。

ホイールナット

スペーサーやナットといった足回りのパーツを製造・販売しているKYO-EIのチタンホイールナット『Ti64 ELEMENTEK』は超軽量仕様。1個あたり30gという驚きの軽さです。価格は10,650円~となっています。

マフラー

柿本改のマフラーは機能性も抜群ながら、ヒートグラデーションで見た目にもこだわった一品です。砲弾型で中低速トルクでのパワーアップが期待できるこのマフラーは、102081円~です。

まとめ

冒頭でも述べたように、チタンは実用化されてそれほど時間が経っていません。現在は精製・加工が難しいため高価な金属ですが、技術が進み、今よりも多くのチタンが流通するようになればフルチタンのボディを持つ自動車なども現れるかもしれません。今後のチタンの技術発展に期待したいですね。