S660の燃費性能や維持費はどれくらい! Kスポーツカーの気になるところを解説 | CARTUNEマガジン
S660の燃費性能や維持費はどれくらい! Kスポーツカーの気になるところを解説

2019年05月10日 (更新:2022年08月22日)

S660の燃費性能や維持費はどれくらい! Kスポーツカーの気になるところを解説

ホンダが軽自動車規格の中で開発を進めた本格スポーツカーであるS660。S660は軽自動車であっても、リッタークラスのスポーツカーと変わらない走りの楽しさが備わっています。そんなS660の燃費性能や維持費はどのようになっているのでしょうか。あくまで軽自動車とはいっても、本格的なスポーツカーである以上、燃費性能が悪く維持費が高い可能性も考えられます。そこで、今回はS660の燃費性能と維持費を徹底的に調査してみました。

ホンダ・S660ってどんな車?

ゃちこまさんのS660の画像
ゃちこまさんのS660の画像

スポーツカー氷河期といわれた2000年代。世界的な大不況だったこともあり、国内の自動車メーカーは利益に直結しないスポーツカーの開発をストップしていました。

2010年代になって景気が随分と回復したことで、トヨタ86/スバルBRZの発売を皮切りに、いくつかの国内自動車メーカーが新しいスポーツカーを発売。2010年代は比較的スポーツカーが恵まれていた時代だったといえます。

しかし、それでもスポーツカー人気が薄れていることは事実です。スポーツカーの人気が薄れている理由として、実用性に乏しい点や維持費がかかる点があげられます。しかし、実用性に関してはともかく、実は維持費のかからないスポーツカーなら存在しています。

維持費のかからないスポーツカー、その代表的な存在がS660です。S660はホンダが2015年から製造及び販売を手がけている軽スポーツ、軽自動車規格を逸脱しない範囲で設計および開発が進められました。

軽自動車なので、自動車税をはじめとする維持費をリーズナブルに抑えることができます。また、エンジンは過給機を搭載していますが、小排気量のため、スポーツカーとしては優秀な燃費性能を実現しています。

今回はそんなS660の燃費性能・維持費に迫ってみましょう。まずは、S660のスペックやグレード・価格をわかりやすく紹介したいと思います。

ホンダ・S660のスペック

えすろくさんのS660サスペンションの画像
えすろくさんのS660サスペンションの画像

軽自動車でありながら本格的なスポーツカーとして開発が進められたS660。軽自動車規格に関する様々な制約の中で設計されたS660はどのような運動性能を秘めているのでしょうか。まずはS660の主要スペックを以下に記載します。

S660 スペック表

エンジンS07A型:0.6L直列3気筒
駆動方式後輪駆動(ミッドシップ)
最高出力(PS/rpm)64/6,000
最大トルク(kgf・m/rpm)10.6/2,600
トランスミッション6MT/CVT
サスペンション前後:マクファーソン式
全長×全幅×全高(mm)3,395×1,475×1,180
車両重量(kg)830~850

これぞ王道スポーツカー、MRレイアウト

S660の最大の特徴として挙げられるのが、MRレイアウトを採用していることです。エンジンをキャビン後方に配置して後輪を駆動させる、フェラーリをはじめとするスーパーカーと同様の駆動方式をS660は採用しています。

また、S660はS07A型0.6L直列3気筒ターボエンジンを搭載。S07A型エンジンは、ホンダの売れ筋軽自動車であるN-BOXなどに搭載されているエンジンですが、そこに新設計のS660専用ターボチャージャーを組み合わせています。

最高出力は64馬力、最大トルクは10.6kgmです。軽自動車のターボモデルとしては普遍的な数値で、エンジンパワーの面で秀でた部分はありません。しかし、MRレイアウトを採用したことで、軽自動車らしさを一切感じさせない高い旋回性能を実現しています。

軽自動車初の6速MTを搭載

トランスミッションは、S660専用に新開発された軽自動車初の6MTとスポーツモードへと切り替えることのできる7速パドルシフト付CVTを採用。CVTでありながら変速機構が備わっている7速パドルシフト付CVTも魅力的ですが、S660を語る上で6MTは絶対に外せません。

S660の6MTは非力なエンジンの出力・トルクを最大限活用するために、ワイドレンジ&クロスレシオに設定されています。このおかげで、軽自動車であるにも関わらずスムーズな加速性能を実現しているのです。

サスペンションは前後マクファーソン式とのことですが、厳密にはフロントにマクファーソンストラット式、リアにデュアルリンクストラット式を採用。スポーツカーらしい性能を実現するために採用したらしく、低速走行時の操縦性と高速走行時の安定性の両立化を図っています。

ボディサイズは軽自動車らしくコンパクトです。全高と全幅に関しては軽自動車規格いっぱいの数値を確保、全高に関しては、スポーツカーらしさを強く感じさせる低さに設計されています。コンパクトなサイズのマシンではあるのですが、車両重量は830~850kgとやや重め。

競合車種であるスズキ・アルトワークスは700kgを下回る車両重量を実現しているので、もう少しダイエットしてもよかったのではないかと思います。とはいえ、全体的にはホンダのスポーツカー開発に取り込む姿勢や熱意が感じられる魅力的なスペックです。

ホンダ・S660のグレード・価格

やまちゃんさんのS660の画像
やまちゃんさんのS660の画像

S660には特別仕様車を含めて4種類のグレードが設定しています。どれも個性的なグレードに仕上がっていますが、まずはそれらの特徴と価格を チェックしてみましょう。

S660 価格表

グレード新車価格(税込)
α2,185,920円
β1,980,720円
α特別仕様車トラッドレザーエディション2,275,560円
S660 Modulo X2,850,120円

S660のグレードラインナップはベースグレード「β」、量販グレード「α」、上級グレード「Modulo X」、特別仕様車「α特別仕様車トラッドレザーエディション」となっています。「β」はベースグレードなので、S660で唯一200万円を下回る価格設定です。

「α」以上のグレードは200万円を大きく上回り、軽自動車としては高価な価格帯で販売されています。その代わり、本格的な運動性能に加えてゴージャスな安全・快適装備の数々が標準装備です。「α特別仕様車トラッドレザーエディション」は「α」をベースに 上質なインテリアと安全装備が追加で採用されています。

公式カスタマイズグレードの「Modulo X」

「Modulo X」は300万円近い価格設定で、下手な普通車よりもはるかに高価です。トヨタの代表的なスポーツカーである86の価格が約260万円~、マツダのライトウェイトオープンスポーツカーであるロードスターの価格が約255万円~であることを考慮すると、「Modulo X」がいかに高価なのか伝わると思います。

86とロードスターはベースグレードの価格に対しS660は最上級グレードの価格なので、公平な比較ではないのかもしれませんが、やはり軽自動車であることを考えると高価すぎる価格帯です。もちろん、「Modulo X」には価格に見合った性能・装備を実現しているので、予算に余裕がある人は迷わず「Modulo X」を購入しましょう。

S660の実用性は?

シャネル0912さんのS660の画像
シャネル0912さんのS660の画像

昨今ではスポーツカーであっても実用性が重要視されます。軽スポーツカーであり2シーターでもあるS660の実用性はどのようになっているのでしょうか。実はお気づきの人も少なくはないと思いますが、S660の実用性はお世辞にも高いといえるものではありません。

むしろ、現在販売されているスポーツカーの中でS660の実用性の低さはトップクラスです。まず、2シーターを採用している時点で実用性が高くないことは分かると思いますが、そのうえ軽自動車なので車内空間はとてもタイトな設計になっています。

S660は走るために開発された車で、車内で快適にくつろぐために開発された車ではありません。もちろん、軽自動車としては上質なインテリアや座り心地の良いシートなど、ある程度の快適性は確保されていますが、それでも長時間の移動には向いていないといえます。

さらに、S660はキャビン後方にエンジンを搭載しています。そのため、一般的な車には備わっているトランクスペースやハッチバック車のラゲッジスペースにあたるものが存在しません。唯一ボンネット内に小さな収納スペースが存在していますが、買い物袋や女性の手提げバッグを収納してしまえば、ほかに物を入れることが出来なくなってしまうのです。

そんな小さな収納スペースでさえも、S660のロールトップを収納すれば容量がいっぱいになってしまいます。そうなると買い物袋や手提げバックですら収納することができません。ちなみにS660のドリンクホルダーですが、設置はたったの1箇所です¥

助手席シートバックポケットやグローブボックスフロントコンソールトレイなどの収納スペースは用意されていますが、積載できるのはせいぜい小物程度。S660に実用性を求めるのは間違いといえるでしょう。

これらのことから、S660でのドライブは2、3時間が限界。軽自動車とはいっても本格的なスポーツカーなので、足回りは固めにセッティングされています。荷物が積載できないので旅行などはもってのほかです。S660を購入するのであれば、走りを楽しむための車として割り切ることが大切だと思います。

S660の維持費は?

ZEN@S660BLE_週末はJPFで腹黒☕さんのS660の画像
ZEN@S660BLE_週末はJPFで腹黒☕さんのS660の画像

実用性に関しては一切の魅力を感じることができないS660ですが、維持費に関しては、ほかの軽自動車と比較してもさほど変わらないリーズナブルな維持費を実現しています。S660が搭載しているエンジンは、N-BOXをはじめとする「Nシリーズ」と同型のエンジンなので、毎年やってくる自動車税の税額はたった10,800円です。

仮に86やロードスターであれば、毎年の自動車税額は34,500円から39,500円にもなります。これらのスポーツカーも決して高価な自動車税ではありませんが、いかにS660の自動車税が安いか伝わるはずです。

車を所有するうえで最も出費が大きいものといえば車検ですが、S660なら車検すらもリーズナブルに抑えることができます。S660の車検費用は一般的な軽自動車と変わりありません。

自賠責保険料(2年分)25,070円
自動車重量税6,600円
印紙代1,400円
合計33,070円

S660に一切の故障・不具合がないと仮定すれば、ユーザー車検でわずか33,070円で車検を通すことが可能です。もちろん、上記の金額には法定点検や整備料が含まれていないため一概にはいえませんが、これが仮に86やロードスターであれば倍近くの車検費用が発生します。

ちなみに、ホンダディーラーであればS660の車検費用は7万円から8万円程度が一般的です。故障の有無や部品交換代などを含めるとさらに高くなってしまう可能性はありますが、それでもほかのスポーツカーに比べると、車検費用をリーズナブル抑えることができるという事実に変わりはありません。

S660の燃費性能は?

130RさんのS660の画像
130RさんのS660の画像

S660がスポーツカーを名乗る以上、気になってくるのが燃費性能です。スポーツカーの中では燃費性能が優秀な86やロードスターでさえ、一般的な車と比べると燃費性能は決して高くはありません。

優秀なカタログ燃費

ところがS660のカタログ燃費は、CVTモデルがJC08モード・24.2 km/L、6MTモデルがJC08モード・21.2 km/Lと非常に高い数値を記録しています。ほかのスポーツカーはもちろん、コンパクトカーのガソリン車でさえS660の燃費性能にかなわない車種があるほどS660の燃費性能は優秀です。

S660は本格的なスポーツカーでありながら、一般的なコンパクトカーと変わりない高い燃費性能を実現していることがわかりました。それでは実燃費ならどうでしょうか。

実燃費でも優秀

スポーツカーに乗っているとエンジンを高回転まで回したくなることがありますよね。普段からハイペースで走行することを考えるとどうしても燃費性能は悪化してしまいがちです。しかし、S660はカタログ燃費だけでなく実燃費であっても優秀な数値を記録しているのです。

街乗り

S660の街乗りでの燃費性能は、CVTモデルが17.0~19.0 km/L、6MTモデルが16.0~18.0 km/Lほどとなっています。軽自動車とはいえ、本格的なスポーツカーでこれだけ優秀な燃費性能を実現しているのは本当にありがたいです。

高速道路

高速道路での燃費性能は、CVTモデルが19.0~22.0 km/L、6MTモデルが19.0~21.0 km/Lほどとなっています。これほどまでに低燃費であれば、お財布の中身を気にすることなく気軽にドライブを楽しむことができそうです。

まとめ

Rosso cremisi S660 ベリアル号さんのS660の画像
Rosso cremisi S660 ベリアル号さんのS660の画像

S660は本格的なスポーツカーであるがゆえに実用性の乏しさが欠点ですが、それを補うほどの有り余る燃費性能の高さや維持費の安さを実現していることがわかりました。ファーストカーならともかく、セカンドカーであれば実用性の低さなんてあまり気になりません。

そこに低燃費やリーズナブルな維持費が加わるというのは本当に大きな魅力です。S660は本格的なスポーツカーにもかかわらず、購入までの敷居が低いスポーツカーでもあります。

過激なスポーツ走行はもちろん、ロールトップを取り外せば快適なオープンドライブを満喫することも可能です。たとえ実用性は低くても、S660は国産車トップクラスの魅力が備わっているスポーツカーであることは間違いないでしょう。

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